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2022/02/15

風邪予防にレモンでビタミンCを補給…は意味がない?

レモンに東京ドーム…実はよくわからない「単位」

「一個人」編集部

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1日に必要なビタミンをとるにはレモン5個分?

 冬場は風邪予防のためにも摂取が推奨されるビタミンCだが、近年はその効果を否定する研究結果も登場している。
 ところで、ビタミンCの豊富さを表すために「レモン〇個分」というたとえがよく用いられる。しかし、生のレモンでビタミンCを摂取するのはなかなかたいへんだ。

 全国清涼飲料連合会のガイドラインでは、レモン1個分のビタミンC量は20mgが基準とされている。
 同会の資料を見ると、レモン全果1個あたりの重量の目安は120g。文部科学省「日本食品標準成分表 五訂」によれば、レモン1個あたりの果汁は30%であり、果汁100gあたり50mgのビタミンCが含まれているという。こうしたデータから、レモン1個分のビタミンCが20mgと算出されたというわけだ。

 ビタミンCの1日あたりの摂取基準は100mg、レモン5個分となる。レモンといえばビタミンCがたっぷり含まれているようなイメージがあるが、じつは1個だけでは摂取基準に満たないのである。

 さらにいえば、レモンよりもビタミンCを豊富に含む食品は少なくない。文部科学省が「日本食品標準成分表」をもとに作成した食品成分データベースではビタミンC含有量が多い食品のTOP10を確認できるのだが、そこにはレモンの名は見られなかった。

 1位はアセロラで100gあたり1700mg。10位のトマピーでも200mgとなり、レモンの10倍以上の数値となった。それではレモンを比較する意味がないと思えるかもしれないが、アセロラもトマピーもスーパーなどで手軽に入手できるわけではない。一般的に知られていて、入手しやすい食品であるレモンが選ばれたと考えられる。

東京ドーム〇個分もよくわからない

 よく使われているけれど、わかりにくい例といえば、「東京ドーム〇個分の広さ」という表現もある。
牧場など、広大な敷地を有する施設がメディアで紹介される際によく用いられる。東京ドームといえば、巨人軍のホームグラウンドとして知られるドーム型の野球場だ。コンサートで使用される場合の収容人数は5万人を超え、集客力の高いアーティストのみがライブを開催できる場所としても認知されている。

 これだけ多くの人が入場できるのだから、とても広い場所だということは理解できるだろう。しかし、実際に行ったことがある人でなければ、その広さを実感しにくいかもしれない。何度も足を運んでいる人も、たとえば「東京ドーム3個分」といわれても、ピンと来ないのも事実だ。

 東京ドームの公式サイトによれば、面積の基準として使われているのは建築面積で、その値は4万6755平方メートルとのこと。1988年の開業当時はこれほど巨大な施設はほとんどなく、広い場所を象徴する場所として比較対象に使われるようになったようだ。
 それ以前は後楽園球場や甲子園球場など、やはり野球場がものさしに使われていた。一昔前までは野球の試合がテレビでも頻繁に放送されており、その広さを間接的にでも実感できた。誰もが知る施設だからこそ、イメージを共有しやすかったのかもしれない。

 自分が知っているものより数倍も大きい、優れているなどといわれると、漠然と「すごい」と思ってしまうのも事実。しかし、例と出されるモノについて知らなければ、わかりにくい比較対象は意外と多いものだ。こうした比較を見つけたときには鵜呑みにするだけではなく、元ネタとなるもののデータも調べるようにしたい。
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本誌「一個人」のほか、健康や教養などを中心に、多層的なテーマを扱った増刊を編集制作しながらこのサイトを運営しています。

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