読切

2021/11/02

天然ものが美味しいって本当? 正しい魚の見分けかた

もうハズさない! 刺身・柵、干物、丸魚…魚を選ぶポイント集

「一個人」編集部

●取材・文/藤田実子 ●撮影/原 務

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 おいしい魚を選ぶには、まず、鮮度のよさを見極めるのが重要。そして、脂が乗っている魚が好きなのか、さっぱり系が好きなのかなど、好みでもおいしさの感じ方が違ってくる。
 今回は部位によって異なる脂の乗りなど、ハズさない魚選びのチェックポイントを紹介。曖昧だった魚選びをグレードアップしよう。

味や脂の乗り具合など、まずは自分の好みを把握

 基本的には、魚は鮮度がよければおいしい。鮮魚店、あるいは料理店で「今日は脂が乗っていておいしいですよ」と言われるが、「脂の乗り」はあくまでもおいしさの目安。脂の乗った戻りガツオよりも、さっぱりとした初ガツオが好きという人もいる。マグロも、大トロ、中トロもおいしいが、赤身も赤身なりのおいしさがある。

 例えば、「おいしいラーメンって何?」と聞いたらどんな答えが返ってくるだろう? こってり系が好きな人、さっぱり系が好きな人など、好みは人それぞれ。魚も自分好みのもの、その日食べたい料理に適したものがおいしさに繋がるということだ。
 つまり、魚選びで重要なのは、まず自分の好みを把握し、食べ方に合ったものを見分けるということ。そうすれば、おいしさにより近づけるのだ。

 鮮魚店では、専門知識を持った店員に、「白身で焼魚にしたい」「青魚で煮付けにしたい」「揚げ物を作りたい」「手巻き寿司をする」などより具体的に好みや食べ方、予算を伝えれば、脂の乗り具合や種類など絞り込んでもらえるはずだ。
 スーパーなどで店員に相談できない場合は、背中や腹など部位で脂の乗りが違うことを知っておくとよい。また養殖は味が安定しているが、天然物は、時期や産地に左右されるので、情報を要チェックだ。

【刺身の柵】は、「筋の入り方」と「柵の形」をチェック

マグロの柵
 マグロ、カツオは、魚体が大ききため、丸魚(まるまる一匹)ではなく、柵で売られることが多い。

 特にマグロは体調1mを優に超えるため、赤身、中トロ、大トロと部位で分類された中で、さらに切り分けられている。ゆえに、同じ部位、同じ価格でパックされていても、柵の形はさまざま。脂の乗りや筋の入り方に違いがあるので、ある程度知識を持っていると、より鮮度が良く、筋が少なく滑らかな食感のものを選べるようになる。

 また、マグロは冷凍ものも多い。これはラベルに表記してあるので必ずチェックしよう。というのも、解凍の仕方で味が違ってくるからだ。きちんと解凍されたものは、パックにドリップ(液体)が出ていない。また、身の端が縮れているものがあるが、これは死後硬直で身が縮みきる前に冷凍された証拠。つまり鮮度がいいということだ。

 カツオは、餌を求めて黒潮に乗って北上する春から初夏のカツオと、栄養を蓄え産卵のために南下する秋の戻りガツオの時期では脂の乗りが違うことも覚えておこう。

■柵・刺身の見分けポイント

① 筋が平行で柵の形が長方形
筋と筋の間が平行になっていれば、頭や体の中央部分ということ。尾に近くなるほど、筋が湾曲。柵の形も四角に切れなくなる。

② 赤身の部分が鮮やかな赤色
赤みの部分は透明感があり鮮やかな赤色をしているのが良い。脂が乗った部分は、うっすら白い脂が細かく入ってピンクに見える。

③ ドリップ(液体)が出ていない
パックにドリップが出ているのは、解凍の仕方が悪い、もしくは解凍後時間が経っているから。柵の端がだらんとしているものも避ける。

【切り身】は、皮の色で部位と脂の乗りがわかる

ブリの切り身
 ブリの切り身を見ると、皮の色が明らかに違うものがある。魚体が大きいものを切り身にする場合、三枚におろした半身をさらにお腹側と背中側に切り分けているからだ。
 皮の色が濃い方が背で赤身中心。腹は皮が白く、身も白っぽいピンクで脂が乗っている。

 ブリに限らないが、好みで部位を選ぶだけでなく、調理法によって使い分けるとおいしさがさらに際立つ。
 脂が多い部位は、脂を落として調理する「塩焼き」「照り焼き」「煮付け」などに向いているといえる。脂が適度に落ちてほどよいジューシーさが保たれ、脂の香りも食欲をそそる。

 逆に脂が少ないものを焼いたり煮たりすると、香りが抜け、パサパサの食感になってしまう。つまり「揚げ物」や「ソテー」など、油を足す料理にすればちょうどよくなるということだ。

 鮮度の見分け方は、他の魚も同様だが、血合いの色が鮮やかで黒ずんでいないもの、皮や身に傷がなく、ツヤのあるものが鮮度が高い。また、切り口のエッジがキリッと鋭角を保っているかもチェック。これは加工されてからの時間の目安になる。

■切り身の見分けポイント

① 血合いの色が鮮やか
時間が経つと酸化して黒ずんでくる。味も臭みが出るなど劣化してくるので、持ち帰る時も、保冷をして、帰ったらすぐに冷蔵庫へ。

② 皮や身にツヤがある
皮は、ツヤやかで光沢があり、赤身の色は鮮やかな赤色でツヤ、透明感がある。鮮度が落ちたものは、身が白く濁ってくる。

③ 切り口が鋭角
切身、刺身は、切り立てであれば切り口のエッジが効いている。時間を追うごとに、鋭角さが失われ、へたってくる。

④ 背中側は皮の色が濃い
ブリに限らず、背中は色が濃い目になっている。血合いと赤身の割合が多く、脂はさっぱりしているがコクや旨みがある。

【干物】は、脂の乗りがおいしさの決め手に

アジの干物
 干物は、鮮魚と違って、ある程度魚の質が良い時期に漁をして加工し、冷凍保存ができるので、流通も価格も安定している。おろして身質をチェックし、上物、並とランクづけされ、価格もそれ相応につけられるので、同じ価格で味の差がつくということもあまり見られない。

 天日干し、灰干し、あるいはブランド魚など付加価値をつけたものもある。魚の質の高さによりダントツで優れたものもあるが、干し方で大きな違いは出ないという。また、機械乾燥は衛生面で優れていると言うメリットもある。

 焼いて食べる干物は、脂が乗っている方がおいしい。「太って身が厚いものを開いた」ことが想像できる姿のものを選ぼう。

 アジなど魚体がさほど長くないものは、丸みを帯びたずんぐりむっくり体型があることが一目瞭然だが、サンマやカマスやなど、長さがある魚も全体をよく見れば、頭の方からお腹にかけては丸くなっている。
 開きの両サイド、つまりお腹の部分にうっすら白い脂の層があることも要チェックだ。全体の色は、青魚ならやや赤みがかったべっ甲色、白身は透明感のあるあめ色で適度なツヤがあるものを目安に選ぼう。

 また、背骨や中骨の周りに血の残りが少ないものは、捌き方が丁寧な良品。血の残りが多いと、味や香りにクセを感じることがあるため、骨の周りもしっかり確認しておきたい。

■干物の見分けポイント

① 丸みのある「ずんぐりむっくり」体型
全体的に身が厚く、大きく、頭からお腹にかけてふっくら丸みを帯びている。体の線が直線的なスレンダーなものは脂の乗りが悪い。

② サイドに白っぽく脂が浮いている
開きの両サイド、お腹の部分に白い脂が乗っているかどうかを確認。黄ばんでいるものは、酸化が進んでいるので避ける。

③ 血の残りが少ないもの
骨の周りには血が残りやすい。完全にきれいに取り去られているものは少ないが、血の残りで丁寧に加工されているかどうかが分かる。

【丸魚】は、ツヤとハリがあり、小顔で太ったものを選ぶ

オキメバル
 魚を丸のままで買う場合、体の中が見えないので、外見で判断できる目を養う必要がある。とはいえ、これもさほど難しくはない。
 新鮮な魚ならば、眼が澄んでいて、体に傷がなく、ハリやツヤがあって誰が見ても「キレイ」と思えるはずだからだ。第一印象でキレイだなと思ったものにフォーカスして、さらに細部をチェックして確かめよう。

 体の張りをチェックするには、ヒレの上を軽く押してみると分かる。同じ魚が並んでいたら、軽く押し比べてみて一番硬いものを選べばよい。
 脂の乗りは、お腹がでっぷり、ずんぐりむっくり体型が基本。またお腹だけでなく、背中にも脂が乗っている場合、顔の後ろから盛り上がり、背の部分も丸みを帯びて張ってくるので、小顔に見える。

 ウロコがはがれていたり、体に損傷があったりするものは、漁で網を上げた時、一番下になり、他の魚の圧力も受けて、網で擦れた可能性が高い。損傷があると、体内の酸化が早く進むので、身に張りがなく、生臭みが抜けない。安売りされていても買うのはお勧めできない。

■丸魚の見分けポイント

① 眼が澄んでいる
鮮度の見分け方の基本は、まず目が透き通っているかどうかを見ること。濁っていたり、変形していたり、血走っているものは避ける。

② ウロコがはがれていない
ウロコのはがれや傷がないかをチェック。漁や輸送の段階で、ウロコが剥がれるような環境にいたものは、味の劣化が進んでいる。

③ ヒレの上に張りがある
魚の体の中で一番身が厚い部分。指で軽く押すだけで、張りがあるかどうか分かる。グニャっとした場合は鮮度が落ちている可能性がある。

④ 「小顔」である
お腹側だけでなく、背中側にもしっかり脂が乗っていると、顔の後ろから盛り上がってくるので、小顔に見える。

⑤ ずんぐりむっくり体型
全体的に丸みがあり身の張り、厚みがあると脂が乗っている証拠。天然の場合、脂が乗っていても、くどくは感じない。
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本誌「一個人」のほか、健康や教養などを中心に、多層的なテーマを扱った増刊を編集制作しながらこのサイトを運営しています。

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