読切

2021/10/26

更年期障害や認知症にもつながる「老眼」の進行を緩やかにする

今日から手軽にできるアイケア3選

梶田 雅義

●取材・文/岩渕茂 ●イラスト/さとうただし

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老眼は誰しも平等に訪れる

「手元のモノが見えなくなってきた」と思っても、頑なに老眼を認めないで頑張っている人はいるだろう。そのような無理な頑張りが老眼を進行させてしまうと梶田眼科院長の梶田雅義さんは指摘する。

「一般的に『老視』と呼ばれる症状は加齢に伴って起こる目の現象なので、老眼になること自体は仕方がないことです。大体30〜40代で老眼が始まり、40代中盤で自覚することが多いと言われています。このように、老眼は決してお年寄りだけがなるものではないので、老眼との正しい付き合い方を知っておくことが老眼対策として重要です」。

老眼を放置するリスクは非常に大きい

 老眼には「加齢に伴う老眼」と「スマホ老眼」に分けられると梶田さんは言う。「加齢に伴う老眼は、水晶体を包んでいる「嚢(のう)」という袋が硬くなるのが原因。スマホ老眼は水晶体の厚さを調節する「毛様体筋(もうようたいきん)」が硬直して起きる症状です」。原因は違うが、どちらもピント調節の不調で手元が見えづらくなる現象だ。

 また、最近増えている症状として「スマホ斜視」があるという。「スマホ斜視は、近くでスマホを長時間見ることによって、寄り目の状態で硬直化してしまう症状です。この症状も目への負荷は大きく、老眼を進行させる可能性が高いものです」と梶田さんは説明する。

 老眼を放置すると、更年期障害や認知症などの症状にもつながると梶田さんは警鐘を鳴らす。
「私が診た患者さんの中に、更年期障害の症状が出ているが病院でいくら調べても原因が不明という方がいました。そこで私が目を検査したところ、老眼を放置して見えづらい状態のまま生活をしていることがわかりました。実はこれが原因だったのです。目が見えづらい状態を続けるのは、一見無関係な場所にまで不調をきたします。だからこそ老眼を軽く考えず、見えづらいと思ったらすぐに対策するのがおすすめです」

一日数分のアイケアで老眼を食い止める

 現代は目への疲労が蓄積しやすく、老眼が進行しやすい環境にある。このような環境で加齢による老眼やスマホ老眼を食い止めるには、細かな目のケアが重要と梶田さんは言う。

「水晶体を包む嚢を柔軟に保てば加齢による老眼は進行を遅らせることが可能です。スマホ老眼の場合、毛様体筋をほぐしてあげればモノが見づらいという症状は改善されます」

 嚢や毛様体筋のケアには、眼球を動かすストレッチが効果的だ。また、パソコンやスマホを使う際には、10分に1回、1〜2秒、視線を外して遠くを見ると目の疲労をためにくくできる。

 疲れ目が酷い場合、首の後ろにある「後頭下筋群」のマッサージも効果的とのこと。「後頭下筋群は、目の動きと連動している筋肉です。目が疲れてくるとこの筋肉も硬直してくるので、ほぐすようにマッサージすると、目の疲れを解消できます」(梶田さん)。

 どのケアも短い時間でできるものなので、習慣づけて目の負担を減らしていきたい。もし老眼だと感じたらすぐにケアしてほしいと梶田さんは言う。「老眼は決して恥ずかしがることではありません。大切な体の一部ですから、末永く快適にモノを見られるようにケアをしていただきたいと思います」。

日常で手軽にできるアイケア3選

視線を外して水晶体をケア
10分に1度、遠くのモノを見るようにする。この際、遠くのモノは自分の目でピントが合う範囲にする。デスクワークをしているときなら、天井を見上げる動作がおすすめ。視線も外せ、首にある後頭下筋群をほぐす効果も得られる。
眼球ストレッチで毛様体筋をケア
人差し指を上下左右に動かし、頭を動かさずに眼球で追いかける。スマホ斜視予防では指先が二重に見えないよう両目で追いかける。1日5分ほどで、ピントを合わせる力や集中力も高まる。
お風呂で10分、眼を温める
目を温めることで、毛様体筋の緊張がほぐれる。入浴の際に湯に浸して絞ったタオルをまぶたの上に乗せ、10分ほどリラックスする。市販のホットアイマスクを使用する場合は、低温やけどに注意。
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WRITTEN BY

梶田 雅義

かじた・まさよし
梶田眼科院長。
1983年、福島県立医科大学卒業後、カリフォルニア大学バークレー校研究員などを経て、2003年、梶田眼科開業。東京医科歯科大学医学部臨床教授、日本眼光学学会理事、日本コンタクトレンズ学会監事、日本眼鏡学会評議員などを務める。

かじた・まさよし
梶田眼科院長。
1983年、福島県立医科大学卒業後、カリフォルニア大学バークレー校研究員などを経て、2003年、梶田眼科開業。東京医科歯科大学医学部臨床教授、日本眼光学学会理事、日本コンタクトレンズ学会監事、日本眼鏡学会評議員などを務める。

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