特集

2021/12/15

名医が薦める、病まない・老けない「新」生活改善術 

Part.2_「自律神経を整える」ための生活改善術

小林 弘幸

●取材・文/松尾直俊

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 自律神経の名医と評される順天堂大学医学部教授・小林弘幸先生によれば、自律神経を自分の意思でコントロールすることはできないが、ちょっとした工夫でバランスを取ることは可能なのだとか。
 今回は先生が実践している、自律神経を整える生活改善術を紹介する

朝は1時間早く起き、散歩や軽い運動をする

 朝は自律神経が副交感神経から交感神経に切り替わる時間、ここでつまずくと一日のリズムが乱れる。

「時間ギリギリに起きて、慌ただしく出かけると、本来は徐々に優位になっていくはずの交感神経を無理に叩き起こすことになります。すると切り替えが上手くいかず、バランスが乱れてしまうのです」(小林先生)
 また、朝日を浴びると幸せ物質といわれるセロトニンが分泌され、体内時計もリセットされるので夜もよく眠れるのだ。

「考える仕事」は午前に、「単純作業」は午後に行う

「午前中は交感神経が上昇し始めるのと同時に副交感神経も程よいパワーを保っています。集中力も研ぎ澄まされているので、頭を使う内容や重要な仕事をするのに最適な時間です」

 しかし、午後、特に昼食後は気をつけたい。

「昼食後2時間程は消化活動にエネルギーが使われて、ボーッとします。特に頭を使う必要のない単純作業などにあてるといいでしょう」

気分を鎮めてくれる「小林式スイッチ」

 現代生活は日常的に交感神経が優位になりやすい要因が溢れている。集中して家事や仕事を続けた後やストレスや怒りを感じると、交感神経のレベルが突発的に高くなる。

「そんな時には、副交感神経のレベルを上げるスイッチを知っておくと便利です。交感神経が優位になると、大抵が浅く、早い呼吸になっています。ゆっくり深い呼吸を意識すると、徐々に副交感神経が優位に働くようになって落ち着きます」
 また、緊張でこわばっている顔や頭、体表面を軽く、優しくタッピングするのも効果が期待できる。

「自律神経をコントロールすることは難しいのですが、体から働きかけてリズムを整えることはできます」」
顔や体をタッピング
●左)人差し指と中指、薬指を使って頭は頭上から側頭部、後頭部を軽くタッピング ●中)腕の外側、手首から指3本分くらいのところを人差し指と中指で。ここは副交感神経を上げるツボだ ●右)顔は眉間からこめかみ、眼下、鼻の下、あごの順でリズミカルに

夕食は就寝3時間前に食べ終える

 食事のタイミングも自律神経を整えるのに関連しているという。

「食物を噛んだり飲み込んだりすると交感神経が、その後、消化吸収が始まると副交感神経が優位に働きます。夜10時以降は副交感神経が高まる時間帯なので、遅い食事は自律神経を混乱させるのです」
 食物が胃で消化されるには、最低でも3時間はかかる。食事をしてすぐに寝ると体の負担にもなる。

仕事の合間に行う「すきまストレッチ」

 コロナ禍で在宅勤務が増え、買い物もスマホやパソコンでできる現代、座り時間が長くなっている。

「座っている時間が長くなると、血流が悪くなって様々な弊害が生じます。WHO(世界保健機関)も警鐘を鳴らしているほどで、長時間座っているほど肥満や糖尿病、心筋梗塞や狭心症、そしてがんのリスクが高まることが分かっています」
 そこで1時間座ったら、数分のストレッチなどで体を動かすといい。

「どうしても座り続けなければならない時は、太い血管が集まる首筋を伸ばすだけでも効果があります。肘を固定して手首を回すだけでも、肩甲骨周辺の筋肉を緩める効果があります。脚を組んで上にしたほうの脚の側にお腹を捻ると、腸が刺激され活性化する効果もあります」
●左)左右の後は息を吐きながら上体をゆっくり前に倒し、吸いながら元に戻す。いずれの動作も両手をしっかり交差させて行うように ●右)背すじを伸ばしてつま先立ちになり、太ももとふくらはぎの筋肉に力を入れる。一気に脱力して、体を左右に振ることを5回繰り返す。
体側伸ばし
両足を肩幅くらいに開いて、息を吸いながら肩甲骨を寄せて両手を交差させて頭上に。息を吐きながら上体を左右に倒して伸ばす。
●左)お腹ひねり……椅子に座って脚を組み、上にしたほうの側に捻ることを左右交互に行う。腹部の筋肉から腸にかけてを刺激することで活性化させる ●右)手首回し……反対側の手で肘を固定して、手首を回すことは、肩を回すのと同様に肩甲骨周りの筋肉を緩める効果がある。左右5回ほど行う。

1日に30分、「自分だけの時間」を持つ

「1日のうちどこかで30分間、自分ひとりだけの時間を持つようにしています」
 大切なのは、意識して時間を作ること。それが「自分へよい働きかけになること」を自覚して過ごすことが重要だ。

「私はその時間に日記を書きます。20年ほど続けていますが、その日失敗したことと感動したこと、そして明日やるべきことの3つを簡潔に書きます」
 こうした時間を作ることで、乱れがちな自律神経のリズムやバランスを整えて1日を終えれば、翌日もよい状態で過ごすことができるのだ。
※本記事は雑誌『大人の健幸長寿学』(『一個人』増刊)より抜粋、アレンジしたものです。
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WRITTEN BY

小林 弘幸

こばやし・ひろゆき
順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。
1960年埼玉県生まれ。ロンドン大学附属英国王立小児病院外科、アイルランド国立小児病院外科勤務を経て、順天堂大学小児外科講師、助教授を歴任し現職。自律神経のバランスに着目し、同分野の第一人者として知られる。
著書は暁子夫人との共著『〈自律神経〉×〈腸〉で10歳若返る! 小林式「最強の習慣」35』(河出書房新社)など。

こばやし・ひろゆき
順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。
1960年埼玉県生まれ。ロンドン大学附属英国王立小児病院外科、アイルランド国立小児病院外科勤務を経て、順天堂大学小児外科講師、助教授を歴任し現職。自律神経のバランスに着目し、同分野の第一人者として知られる。
著書は暁子夫人との共著『〈自律神経〉×〈腸〉で10歳若返る! 小林式「最強の習慣」35』(河出書房新社)など。

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