特集

2021/12/21

名医が薦める、病まない・老けない「新」生活改善術〜腸内環境は若さに直結する〜

Part.3_「腸を整える」ための生活改善術

小林 弘幸

●取材・文/松尾直俊

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自律神経の名医と評される順天堂大学医学部教授・小林弘幸さんによれば、自律神経を自分の意思でコントロールすることはできないが、ちょっとした工夫でバランスを取ることは可能なのだとか。
今回は小林先生が実践している「腸を整える」生活改善術を紹介する

「3つの腸ストレッチ」で腸の動きを促す

「腸は腸神経系という約1兆個の神経細胞があり、脳からの指令がなくても、独自の判断をして働くことができます。その情報は自律神経を通して脳へと伝達されるのです」
 脳と腸はメンタル的にも相互関係があり、自律神経と関連している。

「それだけに腸が不調だと、自律神経にも大きな影響を及ぼします。そんな時は、外から刺激を与え、マッサージすることも効果的です」
 以下に紹介する3つのストレッチは小林先生が考案したもので、便秘や下痢気味、お腹が張ると感じる時に行うと効果的だ。

「腸は外的な刺激に敏感なので、トイレに行く前やトイレの中で行うと即効性もあります」
 腸は食べ物で整えるのが理想的だが、この方法も試してみてほしい。
■骨盤回しストレッチ
左手を肋骨の下、右手を骨盤の上に当てて掴む。両手でお腹を揉みながら腰を右に8回、左に8回ゆっくりと回すようにする。
■お腹しぼりストレッチ
肋骨の下を両手で掴み全身を伸ばした後に大きく息を吸いながらお腹を反らす。深く息を吐きながらお腹を絞って前に倒すことを8回繰り返す。
■『の』の字ストレッチ
おへそを中心に「の」の字を描くように時計回りにマッサージ。次に肘を反対側の膝に置いて前屈みになると便が出やすくなる。

入浴はぬるめのお湯に15分間、腸を温める

 快眠のためにも、夜の入浴はできれば湯船に浸かるようにしたい。

「体の深部体温を39~39.5℃に温めると血流がよくなります。その後緩やかに体温が下がっていくにしたがって副交感神経が優位になって、スムーズに睡眠に入りやすく、腸が働きやすくなるのです」
 小林先生は40℃前後のお湯に首まで3分浸かり、その後10分ほど半身浴をしているという。

「そのくらいが理想的ですが、気持ちがいいと感じる入浴法でいいでしょう。ただ、湯船に浸かる時間が短いと深部体温が上がらないので、最低でも首まで3分は基本ですね」
 42~43℃のお湯では交感神経が急激に働いて血管が収縮し、直腸温度も上がる。すると自律神経のバランスが崩れてしまうので、ぬるめの湯が苦手な人は、最初はぬるく、最後だけ少し温度を上げるといい。

朝食はバナナ1本でも必ず摂る

 朝は交感神経が優位になり、活動モードにシフトする時間帯。そのため、睡眠中に働いていた腸は、一旦動きを止める。

「そこに刺激を入れるのが朝食です。バナナ1本でもいいですから、何かしら朝食を摂ってください。食べ物が胃に入ると腸のぜん動運動が活発になり、夜に消化吸収した老廃物を排泄しやすくなります」
 腸を整える最大のコツは、「1日3回、規則正しく食事を摂ること」だと小林先生は言う。何を食べるかも大切だが、腸の働きにリズムを持たせることは自律神経を整えることにも影響する。

「食事中は交感神経が、食後は副交感神経が働きます。この小さな変動を朝に起こしておくと、終日、腸は必要に応じて活発に働いてくれるようになります」

目覚めの一杯から、こまめに水を飲む

 一般的に、1日1~2ℓの水を飲むと良いとされている。

「私もそれくらいの量を飲んでいます。意識して飲むタイミングは、起きてすぐと毎食前、そして入浴後。仕事の合間にもよく飲みますが、絶対に欠かせないのが、目覚めの一杯です。空っぽの胃に、食物より先に水を入れることで、動きが止まっている腸を刺激できるのです」
 目覚めの一杯は、一気に飲んだほうがいい。勢いよく入れることで、胃腸を目覚めやすくしてくれる。

「水温は冷たくても、常温でも白湯でも、自分に合っていれば構いません。ただ、冷え性の人は冷水は控えたほうがいいでしょう。私は外出時や仕事場でもペットボトルを持ち歩き、喉が乾いたらというよりも、定期的に少しずつ飲んでいます」
 水分が足りていないと血液も濃くなり、便秘などになりやすくなる。

食物繊維が豊富な食品を意識的に摂る

 腸の健康のためには、食物繊維の摂取が大切だとはよく語られる。

「ところが、患者さんと接しているとよく分かっていない人が多いように感じます。実は今、日本人の摂取量は、戦前の3分の1に減っています。便秘症を訴える人が多いのも、食物繊維が足りないのが原因です」
 食物繊維摂取量は腸内環境に大きく関わり、その働きにも影響する。

「食物繊維には便のかさを増して、腸のぜん動運動を活発にする不溶性のものと、腸内細菌の餌になり、便を柔らかくしてくれて、血糖値やコレステロールの増加を抑える水溶性のものがあります。どちらも大切ですが、我が家では、普段は水溶性を多く摂るように意識しています」
 慢性的に便秘の人は【不溶性2・水溶性8】の割合を目安にするといい。

自分の体に合う定番発酵食品を見つける

 発酵食品は腸内環境を整えたり、腸年齢を若返らせたりする。しかし、その種類は様々だ。

「発酵食品は微生物の力で作られ、食べると腸内を整えてくれる効果があります。ただ、腸内環境は人それぞれ違いますから、自分に合ったものを見つけるには、できるだけ数多くの種類を食べてみてください」
 常に数種類の発酵食品を試し、体の状態を観察することが、自分に適した定番発酵食品を見つけ出すことにつながっていくのだ。

「ヨーグルトや味噌、チーズなど、それぞれ使われている菌は違います。私は定番食品に加え、毎日2~3種類、別の発酵食品を食べるようにしています。そうやって腸内細菌の多様性を応援することで、腸内年齢も若く保つことができるのです」
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WRITTEN BY

小林 弘幸

こばやし・ひろゆき
順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。
1960年埼玉県生まれ。ロンドン大学附属英国王立小児病院外科、アイルランド国立小児病院外科勤務を経て、順天堂大学小児外科講師、助教授を歴任し現職。自律神経のバランスに着目し、同分野の第一人者として知られる。
著書は暁子夫人との共著『〈自律神経〉×〈腸〉で10歳若返る! 小林式「最強の習慣」35』(河出書房新社)など。

こばやし・ひろゆき
順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。
1960年埼玉県生まれ。ロンドン大学附属英国王立小児病院外科、アイルランド国立小児病院外科勤務を経て、順天堂大学小児外科講師、助教授を歴任し現職。自律神経のバランスに着目し、同分野の第一人者として知られる。
著書は暁子夫人との共著『〈自律神経〉×〈腸〉で10歳若返る! 小林式「最強の習慣」35』(河出書房新社)など。

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