特集

2021/12/05

名医が薦める、病まない・老けない「新」生活改善術 

Part.1_自律神経について正しく知る

小林 弘幸

●取材・文/松尾直俊

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体調を整える根幹『自律神経』を正しく知る

 そもそも「自律神経」とは何か。意外と知らない人も多いだろう。

「『自律神経』は、脳の視床下部から全身に張り巡らされている末梢神経のことです。その名前の通り自律的に働いて24時間休むことなく内臓や血流、呼吸や体温をコントロールしています。また、緊張や集中、リラックスなど、心の動きにも働きかけています」

 そう教えてくれたのは自律神経の名医と評される順天堂大学医学部教授・小林弘幸先生だ。自律神経は、人が生きるために必要な体のあらゆることをコントロールする役割を担っている。
交感神経は主に日中、副交感神経は夕方から夜にかけて活発になる。呼吸や心拍に血液循環、消化吸収など、生命活動に必要な生理現象を制御して、ほぼ全ての器官に関与している。
「そして、自律神経には交感神経と副交感神経があります。交感神経は心拍数を上げる、瞳孔を拡大させる、血管収縮や発汗を促すなど『ON』の神経です。心の面では緊張や興奮を促します。一方、副交感神経は心拍数や発汗の抑制、血管拡張に瞳孔を縮小させる、唾液の分泌を促すといったことに働く『OFF』の神経です。

 交感神経はいわばアクセルの役目。そして、副交感神経はブレーキ役と考えるとわかりやすい。

「交感神経と副交感神経は、一方が活発な時には一方が抑制的になることを繰り返して動いています。大きな流れでは、日中は交感神経が活発になり、夜に向けて副交感神経が優位になっていきます」
起床後、朝食をとってから徐々に交感神経が優位になっていき、12〜13時くらいにピーク。そしてゆっくりと副交感神経が優位になるスムーズな入れ替わりが理想的だ。
 ただ、例えば食事中は交感神経が、食後は副交感神経が優位になるというような、小刻みな交替もある。そして交感神経と副交感神経のどちらかの動きが鈍くなったり、逆に強く働き過ぎたりすると体調に影響を及ぼす。

「それが一般に『自律神経が乱れる』や『バランスが崩れる』と言われる状態です。交感神経優位な状態が続き過ぎると血行が悪くなります。すると疲れが溜まり、循環器系の病気に罹患しやすくなったり、免疫力の低下も招いてしまったりします」

 精神的にもイライラして、興奮が抑えられなくなり、判断力も低下する。

「逆に副交感神経優位な状況が続き過ぎると、今度は全身の活力が低下してしまいます。するとやる気や自信が失われ、酷い人だと、うつ状態に陥ることもあります。さらにアンバランスになるだけではなく、双方の働きが低下すると、様々な体の不調の原因になることが判明しています」
副交感神経は年齢と共に低下することが知られている。男性は20〜30代、女性は30〜40代の間に急速に降下していく。適切なケアをしておかないと、不調の原因になる。
 自律神経のリズムは、些細なことで乱れる。一番の原因はストレスだ。特にすでに2年近く続くコロナ禍では、根拠のない不安から失調症に陥り、不定愁訴を訴える人が増えてきているのだ。

「天候や生活習慣も要因になりますが、怒りや強度の不安、緊張などのストレスを受けるなど、交感神経優位の状態が続いてしまうと、夜になっても副交感神経が優位になりません。すると倦怠感や不眠、寝ても疲れが取れない、いつもイライラしているといったような状態を引き起こしてしまうのです」

 これを防ぐには、自律神経のバランスに合わせた生活が肝要だ。リズムを自分の意思でコントロールすることはできないが、ちょっとした工夫でバランスを取ることは可能だという。
 次回はその方法を紹介しく予定だ。
小林先生が心掛けているのは、自律神経の動きに合わせてスケジュールを組み込んで行動すること。そうすることで毎日が快適に過ごせるのだ。参考にしたい。
※本記事は雑誌『大人の健幸長寿学』(『一個人』増刊)より抜粋、アレンジしたものです。
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WRITTEN BY

小林 弘幸

こばやし・ひろゆき
順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。
1960年埼玉県生まれ。ロンドン大学附属英国王立小児病院外科、アイルランド国立小児病院外科勤務を経て、順天堂大学小児外科講師、助教授を歴任し現職。自律神経のバランスに着目し、同分野の第一人者として知られる。
著書は暁子夫人との共著『〈自律神経〉×〈腸〉で10歳若返る! 小林式「最強の習慣」35』(河出書房新社)など。

こばやし・ひろゆき
順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。
1960年埼玉県生まれ。ロンドン大学附属英国王立小児病院外科、アイルランド国立小児病院外科勤務を経て、順天堂大学小児外科講師、助教授を歴任し現職。自律神経のバランスに着目し、同分野の第一人者として知られる。
著書は暁子夫人との共著『〈自律神経〉×〈腸〉で10歳若返る! 小林式「最強の習慣」35』(河出書房新社)など。

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