体調を整える根幹『自律神経』を正しく知る
「『自律神経』は、脳の視床下部から全身に張り巡らされている末梢神経のことです。その名前の通り自律的に働いて24時間休むことなく内臓や血流、呼吸や体温をコントロールしています。また、緊張や集中、リラックスなど、心の動きにも働きかけています」
そう教えてくれたのは自律神経の名医と評される順天堂大学医学部教授・小林弘幸先生だ。自律神経は、人が生きるために必要な体のあらゆることをコントロールする役割を担っている。

交感神経はいわばアクセルの役目。そして、副交感神経はブレーキ役と考えるとわかりやすい。
「交感神経と副交感神経は、一方が活発な時には一方が抑制的になることを繰り返して動いています。大きな流れでは、日中は交感神経が活発になり、夜に向けて副交感神経が優位になっていきます」

「それが一般に『自律神経が乱れる』や『バランスが崩れる』と言われる状態です。交感神経優位な状態が続き過ぎると血行が悪くなります。すると疲れが溜まり、循環器系の病気に罹患しやすくなったり、免疫力の低下も招いてしまったりします」
精神的にもイライラして、興奮が抑えられなくなり、判断力も低下する。
「逆に副交感神経優位な状況が続き過ぎると、今度は全身の活力が低下してしまいます。するとやる気や自信が失われ、酷い人だと、うつ状態に陥ることもあります。さらにアンバランスになるだけではなく、双方の働きが低下すると、様々な体の不調の原因になることが判明しています」

「天候や生活習慣も要因になりますが、怒りや強度の不安、緊張などのストレスを受けるなど、交感神経優位の状態が続いてしまうと、夜になっても副交感神経が優位になりません。すると倦怠感や不眠、寝ても疲れが取れない、いつもイライラしているといったような状態を引き起こしてしまうのです」
これを防ぐには、自律神経のバランスに合わせた生活が肝要だ。リズムを自分の意思でコントロールすることはできないが、ちょっとした工夫でバランスを取ることは可能だという。
次回はその方法を紹介しく予定だ。

※本記事は雑誌『大人の健幸長寿学』(『一個人』増刊)より抜粋、アレンジしたものです。
WRITTEN BY
小林 弘幸
こばやし・ひろゆき
順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。
1960年埼玉県生まれ。ロンドン大学附属英国王立小児病院外科、アイルランド国立小児病院外科勤務を経て、順天堂大学小児外科講師、助教授を歴任し現職。自律神経のバランスに着目し、同分野の第一人者として知られる。
著書は暁子夫人との共著『〈自律神経〉×〈腸〉で10歳若返る! 小林式「最強の習慣」35』(河出書房新社)など。
こばやし・ひろゆき
順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。
1960年埼玉県生まれ。ロンドン大学附属英国王立小児病院外科、アイルランド国立小児病院外科勤務を経て、順天堂大学小児外科講師、助教授を歴任し現職。自律神経のバランスに着目し、同分野の第一人者として知られる。
著書は暁子夫人との共著『〈自律神経〉×〈腸〉で10歳若返る! 小林式「最強の習慣」35』(河出書房新社)など。
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