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「渥美半島菜の花まつり」開催中!菜の花畑で出会う、幸せを呼ぶスフィンクス

一足早い春の訪れを告げる菜の花。愛知県田原市で、毎年恒例の「渥美半島菜の花まつり」(渥美半島観光ビューロー主催)が開催されている。2025年3月31日まで。今年は菜の花畑の中にアート作品が登場し、例年とはまた変わった景色を見せている。


今年の菜の花の見頃は3月

今年の菜の花

渥美半島の最南端にある田原市。黒潮の影響で冬でも温暖な気候に恵まれ、日照時間の長さと快晴日数の多さが日本トップクラスだ。かつては水資源に乏しいことが難点だったが、1968年に豊川用水が引かれると農業が飛躍的に発展し、いまや日本有数の花と野菜の生産地になった。

そんな田原市で1997年から開催されている「渥美半島菜の花まつり」。メイン会場の「伊良湖菜の花ガーデン」では、4万平方メートルの畑に約120万本もの菜の花が咲き誇る。快晴の日には、青空のもとに見渡す限りの黄色い絨毯が広がる、夢のような光景が生まれる。雨不足の影響で今年は生育が遅れているが、3月には見頃を迎え、菜の花の背丈が1メートル近くまで伸びる見通しだ。

今年はアートと融合、3体のスフィンクスが鎮座

見頃の3月になると台座がすっぽりと埋もれ、スフィンクスが菜の花畑の中に浮かんでいるように見えるという

30年近く続くイベントなので訪れたことがあるという読者も少なくないだろう。だが、今年はスペシャルだ。伊良湖菜の花ガーデンを歩いていると、菜の花畑の中に突如として3体の黄色い大きなスフィンクスが登場する。どこか懐かしさを覚える菜の花畑の風景が、一瞬にして新鮮な場所に変わる。

これは、田原市が2024年度から実施しているプロジェクト「花咲く暮らしラボ」による仕掛け。アート作品
との融合を通して「幸せな風景」を生み、田原市が〝日本一の花の生産地〟であることを国内外に発信するための取り組みだ。アート事業を手掛けるスパイラル/株式会社ワコールアートセンター(東京・南青山)が総合プロデュースしている。

身近な素材を使用、普遍的モチーフを現代の生活空間へ

久保さん
会場のスフィンクス

スフィンクスは彫刻家の久保寛子さんの作品だ。久保さんは、古代エジプト彫刻や国内外の神話をモチーフに、現代的な素材を使って作品を生み、農村地帯や商業施設など現代の私たちの生活空間に展示している。

今回の場合は、農家にとって馴染み深い素材を使用している。スフィンクスの骨組みは鉄、体を覆う黄色い素材はカラス避けネット、蝶はブルーシートだ。

「芸術作品は身近に感じにくいものですが、ホームセンターで手に入るような素材を使うことで、誰しもが自身の生活と地続きで捉えられるような作品制作をしたいと思っています」と久保さん。

大きさや色は異なるが、スフィンクスは別の地域でも展示したことのある作品だ。

「アートは本来、言語・宗教・地域・時代に縛られないものであるはず。どんな場所に置いても通用するような、普遍的な作品を作りたいと思っています。なおかつ、作品があることで空間全体の認識が変わるような」

日没近くのスフィンクス

日中に見るスフィンクスも美しいが、日没が近づくと夕日が透けて幻想的になる。ぜひ、時間を変えて楽しんでほしい。

畑に現れる等身大パネルは、昔の田原のものがたり

菜の畑の中のパネル

菜の花畑を歩いていると、人がプリントされた等身大パネルがいくつか目に入る。皆さん、田原市で育った地元の方々だ。側にある二次元コードをスマートフォンで読み取ると、彼らのインタビュー音源が流れる。戦時中の体験、豊川用水、行事食などテーマはさまざま。9人へのインタビューが7つのパネルと録音データに分けられている。

花咲く暮らしラボのロゴデザインを担当したデザインスタジオ「so+ba」のAlex Sonderegger(アレックス・ゾンダーレッガー)さん(スイス出身)が、日本語でインタビューをしたものだ。

「デザインをする前に、必ずその対象の歴史を知ることを心掛けています。みなさんが繕うことなくお話ししてくださったことを、受け取ってもらえれば」とAlex Sondereggerさん。

ロゴデザインとインタビューを担当したAlex Sondereggerさん

今見ている景色はどんな歴史の上にあるのか。名もなき市井の人たちの実体験こそ、今この景色、そして現代に生きる私たちのルーツだ。ただ観光するだけでは知り得ることのない生活者の声。点在するパネルを探して、菜の花に囲まれながら昔ばなしに耳を傾けたい。

メイン会場「伊良湖菜の花ガーデン」
住所:愛知県田原市堀切町浜藪 
駐車場:無料(200台) 
入場料:大人500円、小人100円 
営業時間:9時〜17時
イベントHP:https://hanasaku-tahara.jp/
「花咲く暮らしラボ」Instagram:@hanasaku_kurashi_lab

立ち寄りたい近隣スポット

伊良湖オーシャンリゾート
全148室がオーシャンビュー。太平洋側からは朝日や観光名所「日出(ひい)の石門」を見渡せ、伊勢湾側からは夕日や三島由紀夫の小説「潮騒(しおさい)」の舞台となった神島(かみしま)を望む。2022年にデビューした伊良湖温泉は、塩分があり体を芯から温めてくれる。朝食は和食・洋食・中華のビュッフェ。

住所:愛知県田原市日出町骨山1460-36
TEL:0531-35-6111
料金:1泊2食付13,000円〜(税サ込み、2名1室利用時の1名あたり)
HP:https://irago-ocean-resort.com/

電照菊ナイトツアー
田原市は菊の生産量日本一。人工的に光を当てて開花時期を遅らせる栽培方法は「電照菊」と言われ、ハウスの灯りが美しいイルミネーションに。ナイトツアーは簡単な座学と温室見学がセット。

住所:愛知県田原市堀切町南原135
料金:一般3,500円(約90分/花と野菜のプレゼントあり)
要予約:Webサイトより(https://dennsyoukiku.mystrikingly.com/
電話:080-6945-0836(渡会さん)

伊良湖岬灯台
半島の先端に1929年に開設された白亜の灯台。海の難所と言われる伊良湖水道で、向かいの神島灯台とともに行き交う船舶の安全を見守る。「日本の灯台50選」。

住所:愛知県田原市伊良湖町古山

日出の石門(ひいのせきもん)
太平洋の荒波によって侵食され洞穴となったアーチの形の不思議な岩。沖の石門、岸の石門の2つがある。NHK大河ドラマ「どうする家康」のロケ地になった。

住所:愛知県田原市日出町

田原まつり会館
田原名物の「からくり人形」をのせた豪華な山車(からくり山車)や、市の無形民族文化財に指定されている「けんか凧」や「初凧」を中心に展示している。田原凧の手作り体験もできる。

住所:愛知県田原市田原町稗田17
時間:10時~16時(入館は15時半まで)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始
入館料:無料
電話:0531-22-7337

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写真提供◉花咲く暮らしラボ 協力◉田原市、スパイラル/株式会社ワコールアートセンター

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