どうも。某国営放送で「神社マニア」と紹介され、アイドル相手に参拝作法や鳥居の話をしたこともある渋谷申博です。本業は神社仏閣仏像などに関する文を書くことで、『一生に一度は参拝したい全国のお寺めぐり』、『秘境神社めぐり』、『眠れなくなるほど面白い 図解 仏教』といった本を出しています。雑誌『一個人』にもたまに出没します。
さて今回は、そんなワタクシがお勧めする紅葉の寺社ベスト7をご紹介したいと思います。ただし、これはあくまでも私の個人的な趣味ですので、あらかじめご承知おきください。お勧めの判断基準には、紅葉の美しさだけではなく、寺社そのものの良さも含まれております。
■栄えある1位は超有名な…
「え、普通は下位からの発表じゃないの?」とお思いのあなた、このランキングは超有名な名所から知られざる名所へと順にご紹介するものでもあるので、第1位からというわけなのです。
さて、極私的紅葉スポット第1位は、高野山です。

関西の紅葉の名所というと、嵐山や吉野山、比叡山、東福寺といったところが鉄板ですが、高野山も見事です。広い山内のどこを歩いても紅葉が楽しめます。
高野山は空海が密教を広めるために築いた真言宗の根本道場。今も多くの僧が修行に励んでいます。密教の絢爛たる世界観を象徴する堂塔を錦繍が彩る高野山は、ひと味違う紅葉狩りが体験できます。
とくに有名なのは壇上伽藍と金剛峯寺を結ぶ蛇腹路ですが、個人的には浪切不動尊や徳川家霊台などがある一心口あたりの静かで広々とした感じも好きです。
ただし、高野山は紅葉の時期がほかよりずっと早いので要注意。ついで言うならば、雪が降るのも早いです。紅葉情報をご確認の上、暖かい格好でお出かけください。
■2位から5位は古刹が勢揃い
2位は京都市西京区の善峯寺です。

善峯寺は長元2年(1029)に創建された天台宗の寺院で、将軍綱吉の生母・桂昌院が信仰したことで知られます。西国三十三所霊場の札所でもあるので多くの参詣者がありますが、バス停・駐車場から少々長い石段を登らなければならないこともあって本堂までしか行かない方がいます。しかし、それはとてももったいないことです。本堂から奥へさらに登っていくと、場所ごとに変化する景観・眺望が楽しめます。時間をたっぷりとって参詣しましょう。
3位は神奈川県伊勢原市の大山(おおやま、「だいせん」と読むと鳥取県の霊山のことになります)です。
雨乞いの霊験で知られた霊山で、江戸時代には富士山や江ノ島と併せて参詣する人が多く、その賑わいぶりは落語の「大山詣で」にも語られており、日本遺産としても認定されています。中腹の阿夫利神社下社、その下の大山寺、それぞれ味わいの違う紅葉が楽しめます。


続いて4位は福島県猪苗代町の土津(はにつ)神社です。会津藩初代藩主・保科正之を祀る神社で延宝3年(1675)に創建されています。

福島県、とくに会津周辺には紅葉の名所が多く、どこを選ぶかにはいろいろご意見もあろうかと思いますが、本殿周辺と奥の院の保科正之の墓所の独特の雰囲気(これはぜひ行って確かめていただきたい)が味わい深いので、私は土津神社を推したいと思います。
5位も会津周辺の喜多方市の新宮熊野神社です。ここまでカエデ系の赤い紅葉(変な言い方ですが)中心でしたので、イチョウの黄葉がすばらしい神社をご紹介したいと思います。

■意外な6位、超穴場の7位
6位は鎌倉大仏こと高徳院です。建長4年(1252)に造立が着手された大仏(阿弥陀如来坐像)は、奈良の大仏に次ぐ規模で国宝に指定されており、その美しい姿で知られています。

「その大仏様がなぜ6位?」と思われるかもしれません。たしかに大仏様は今や世界的な名所ですが、紅葉スポットとしてはあまり知られていません。
実際、紅葉そのものは5位までに比べると、やや見劣りするかもしれません。しかし、国宝の大仏と紅葉が撮れる場所はここしかありません。
そして、堂々の7位は、東京都練馬区石神井台の道場寺です。道場寺は文中元年(1372)に創建された曹洞宗の寺院です。

実は道場寺が紅葉の名所だということは、地元でもあまり知られていません。しかし、境内をまっ赤に染める紅葉越しに三重塔が眺められる境内は、まるで京都のお寺にいるような気持ちにしてくれます。
以上、寺社マニア・渋谷申博がおくる極私的紅葉スポットランキングでした。ひょっとしたら、あなたの身近にもそんな隠れた名所があるかもしれませんよ。