岐阜県の東南、日本のほぼ真ん中に位置する、歴史とグルメが豊かな恵那市岩村町(通称:恵那岩村/えないわむら)。地元の第三セクター「明知(あけち)鉄道」で旅してきました。
四季折々の車窓からの景色が圧巻
明知鉄道は、恵那駅から明智駅を結ぶ全長25.1kmのローカル線です。明知鉄道での旅の醍醐味は、車窓に広がるのどかな風景。春は桜並木、夏は緑豊かな山々、秋は紅葉、冬は雪景色と四季折々の美しい景色が広がります。特に、恵那山や木曽山脈などの雄大な山々を望む景色は圧巻。車窓を眺めているとゆったりとした気分に浸ることができ、時間がゆっくりと流れ出します。

イベント列車が旅の思い出に
明知鉄道では季節ごとに様々なイベント列車が運行されています。春には桜の季節限定の「桜列車」、夏には花火大会に合わせた「花火列車」、秋には紅葉の季節限定の「紅葉列車」などがあり、さらにグルメ列車も人気です。恵那駅から明智駅まで、お弁当を楽しみながら旬を感じることができます。
今回乗車したのは「じねんじょ列車」で、風味豊かな自然薯を使った弁当を頂きました。私も含めてほとんどの参加者がおかわりをする美味しさでした。


明知鉄道のレトロな車両と駅舎にも注目
明知鉄道にはレトロな車両や趣のある駅舎が数多く残っています。各駅舎は歴史を感じさせる建物が多く、旅情をそそります。



地元の味覚を堪能!恵那岩村のグルメ
明知鉄道沿線には、地元の食材を使った美味しいグルメがたくさんあります。中山道69次のうち、江戸から数えて46番目の宿場町「大井宿」に近い恵那駅では、栗きんとんや五平餅など地元の名産品を楽しめます。岩村城下町の玄関口である岩村駅には、地元産の肉や野菜を使った料理を提供する食堂があります。
今回お昼を頂いた洋食店「エスポワール」では、恵那市産の三浦豚を使ったグリルを堪能しました。三浦豚は、恵那市の特産品である寒天製造の過程で生まれる天草を飼料に混ぜ込んで育てられているため、柔らかく、コクと甘みが感じられる美味しい豚肉でした。

歴史と文化に触れる、岩村城と城下町
岩村町の中心にある岩村城は戦国時代に築かれた山城です。大和高取城、備中松山城と並ぶ日本三大山城の一つに数えられ、日本百名城にも選定されています。霧が湧きやすい土地であることから、「霧ヶ城」の異名をもちます。
室町時代には遠山氏の居城として築かれ、戦国時代末期に遠山景任が亡くなると、夫人のおつやが事実上の城主となりました。江戸時代に入ると松平家乗が城主となり、岩村藩を立藩します。複雑な山肌に沿って築かれた連郭式の山城で、いくつもの曲輪(くるわ)が連なり、堅固な防御力を誇っていました。特に、六段壁(ろくだんへき)と呼ばれる石垣は、その見事な積み方と壮大なスケールで見るものを圧倒します。まるで巨大な石の芸術作品のようです。

現在は「岩村城址公園」として整備され、かつての岩村城の姿を偲ぶことができます。城壁や石垣、本丸跡などを巡りながら、かつての戦国時代の息吹を感じることができます。城跡からは、周囲の山々や岩村城下町の美しい景色を一望でき、特に桜の季節には、城跡周辺に桜が咲き乱れ、まさに絶景です。
岩村城下に広がるのは歴史的な町並みです。電柱がなく、石畳や古い建物が残り、当時の風情を今に伝えています。歴史的建造物や工芸品を扱う店が点在し、歴史ある文化に触れることができます。また、名物の五平餅のお店では、店ごとに異なる味や形を楽しむことができます。

創業230年余りを誇る岩村醸造の看板は、銘酒「女城主」。 角打ちも楽しめるので、歴史ある建物の中で地元の酒をゆっくりと堪能できます。炬燵を囲んでお酒を楽しむこともでき、独特の風情を味わえます。

少し町から離れると、日本の古き良きのどかな風景を楽しめ、「農村景観日本一」と称される富田地区があります。近くには築140年を超える「茅の宿とみだ」があり、茅葺き屋根の古民家を改修した宿泊施設で、昔ながらの囲炉裏を囲んで五平餅を作る体験もできます。



まとめ
明知鉄道に乗って訪れる恵那岩村は、豊かな自然と歴史、美味しいグルメ、そして雄大な岩村城が楽しめる魅力的な場所です。ぜひ、明知鉄道で東濃地方の旅を楽しんでみてください。