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JALで行く世界遺産の旅|和歌山県「熊野古道」で、熊野三山や信仰の歴史、壮大な自然を楽しむ

2024年に世界遺産登録20周年を迎えた、熊野古道で知られる「紀伊山地の霊場と参詣道」。この機会に一度、熊野を歩いてみたいという読者も多いのではないでしょうか。日本航空(JAL)が提供する「アドベンチャーツーリズム※」は、2泊3日の行程で熊野古道の中辺路(なかへち/和歌山県)を語り部とともに歩き、熊野信仰の歴史や熊野三山をはじめとした名所旧跡、滝などの壮大な自然までを一度に楽しめるプランです。編集部の体験取材をレポートします!

※アドベンチャーツーリズム
自然とのつながり、異文化体験、身体的アクティビティの3つの要素のうち2つ以上を含む旅行形態のこと

いにしえから人々を惹きつける「熊野」を目指す

今回旅をする熊野古道

古代から中世にかけ、上皇・女院から庶民にいたるまで多くの人々が参詣した熊野。蘇りの力を持つとされ、人々は生きながら魂が再生されることを信じ、現世の罪を洗い流して極楽往生を遂げようと、難行苦行の道を歩きました。紀伊半島を西回りする紀伊路(きいじ)と東回りする伊勢路(いせじ)がよく知られていますが、他にも、中辺路や大辺路、小辺路などがあります。その道のりにはさまざまな名所旧跡がありますが、中でも人々は、熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)、熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)、熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)・那智山青岸渡寺(なちさんせいがんとじ)、いわゆる熊野三山を目指しました。 熊野三山は紀伊半島の南東部に位置し、それぞれを中辺路が結んでいます。

熊野古道の巡礼において熊野三山を巡る方法はいくつかありますが、今回参加したジャルパックのアドベンチャーツーリズムは南紀白浜空港からタクシーで中辺路を進み、途中の三軒茶屋で降りて、専任の語り部の同行のもと、熊野の自然や歴史、文化、伝説などを解説してもらいます。2泊3日で約5.5kmと比較的短いコース設定ですが、多くの史跡や豊かな自然に出会えます。

〈1日目〉ゆるやかな中辺路を歩き、熊野本宮大社を目指す

語り部と一緒の熊野詣の始まり

5月の新緑の季節、白浜温泉やアドベンチャーワールドにほど近い和歌山県南部、南紀白浜空港に降り立ちました。日本航空が用意してくれたタクシーで、北東方面の中辺路を目指します。1時間30分ほどで小辺路との合流点である三軒茶屋跡に到着。タクシーから降り、いよいよ語り部と一緒の巡礼が始まります。

案内してくださった語り部

中辺路のクライマックスにあたる場所で、比較的ゆるやかで初心者でも歩きやすいコース。清々しい空気と爽やかな風に導かれながら、古来の巡礼者も眺めたであろう美しい風景に浸り、1日目の目玉である熊野本宮大社を目指します。

2泊3日の熊野詣の始まり

それなりに疲れてくる頃が、語り部がいるプランの醍醐味が発揮されるとき。語り部の誘導で、ウグイスやヒヨドリ、キジバトなどの鳴き声や飛び立つ姿を観察したり、運が良ければシカやイノシシなどの野生動物を遠くから眺めることができます。植物にも注目。春には桜が咲き乱れ、秋には紅葉が美しい風景をつくり、四季を通じて自然を楽しめます。 季節によって山菜やタケノコ、ワラビが顔を出します。

自生する植物について解説してくれる語り部

自然の恵みに癒されたころ、1つ目のポイント、展望台に到着しました。正面に見えるのは熊野本宮大社の旧社地・大斎原(おおゆのはら)と大鳥居。
今日の目的地を目にすると、残りの道のりを歩き進める元気が湧いてきます。

展望台からの気持ちのいい眺め

大樹の陰に佇む「祓殿王子跡」で、道中の穢れを祓う

展望台から少し進むと、祓殿王子跡(はらいどおうじあと)に到着します。熊野古道には王子が点在しています。王子は道標としての役割のほか、休憩と宿泊の場などとして利用されてきました。祓殿王子跡は熊野本宮大社への道中にある最後の王子で、熊野本宮大社と近接する大樹の陰に佇んでいます。かつては、祓殿王子跡で道中の穢れを祓い、身を浄めて熊野本宮大社に参拝していたそうです。

石造の小祠を祀る祓殿王子

これぞ聖地、清く美しい熊野本宮大社に到着

そしていよいよ、熊野本宮大社に到着です。澄み渡った空気感の境内に重厚感のある社殿が建っており、聖地に来たことを実感しました。全国に4700社あるとされる熊野神社の総本宮であり、古より熊野詣で最初に目指したのが熊野本宮大社です。2018年に創建2050年を迎えましたが、今なお参拝者の波が途切れることはありません。

2000年以上にわたって人々の信仰を集める熊野本宮大社

旧社地、大斎原の美しさを望む

さらに15分ほど歩いた場所にある大斎原は、熊野本宮大社の旧社地で、神が舞い降りたと伝えられる神聖な場所です。熊野川・音無川・岩田川の3つの川が合流する地点に位置していて、かつては当時は境内に5棟12社の社殿、楼門、神楽殿や能舞台などがありました。ところが明治22年(1889年)の大洪水で社殿が流れてしまい、その後、被害を免れた4社が現在地に移転されました。現在の大斎原には流失した中四社・下四社を祀る石造の小祠が祀られています。また、桜の名所としても知られ、春には美しい桜の花が咲き誇る風景が楽しめます。訪れた5月は、田植えされたばかりの美しい田園が広がっていました。

大鳥居の背後の森が大斎原

巨大な仙人風呂で知られる川湯温泉

熊野川の支流である大塔川に位置する自然湧出の温泉地、川湯温泉。源泉は70度以上で、地元では川原を掘ると温泉が湧くことが知られています。夏は川遊び、冬は仙人風呂と呼ばれる巨大な露天風呂が人気です。1日目の宿泊先は、ここ川湯温泉にある「山水館 川湯みどりや」です。客室からは川や山々を一望でき、四季折々の美しい景色を楽しめます。旬の食材を使った料理は、どれも新鮮で熊野の思い出の味になりました。

〈2日目午前〉熊野速玉大社で旅の安全を祈る

鎌倉積み石段が名物、神倉神社からスタート

2日目の朝はゆったりと。9時45分ごろに宿をタクシーで出発し、まず訪れたのは神倉(かみくら)神社です。熊野速玉大社の摂社で、熊野の神々が初めて降臨した聖地。パワースポットとして人気があります。源頼朝が寄進したと伝わる鎌倉造りの538段の石段を登った山の中腹にご神体の「ゴトビキ岩」が鎮座しています。 そこからは新宮市街と太平洋の大海原が見渡せるそう。今回のツアーでは階段の上には登りませんでしたが、次回訪れる際にはぜひ登ってみたいです。

神倉神社の急勾配の石段

夫婦神を祀る熊野速玉大社で、家内安全などのご加護を賜る

続いて、タクシーで熊野三山の一つである熊野速玉大社へ向かいます。社殿がなかった原始信仰、自然信仰時代の神倉山から、初めて真新しい社殿を建てて熊野大神を祀ったのが熊野速玉大社です。朱塗りの美しい社殿には、熊野速玉大神と熊野夫須美大神の夫婦が鎮まり、家内安全、夫婦円満、現世安穏などのご利益があります。御神木の梛(なぎ)の木は平和を守る木として知られ、旅の安全を願って、梛の葉をお守りとして懐中に納めて帰るのが習わしだったそうです。

朱色が鮮やかな熊野速玉大社

緑に囲まれた、清々しい阿須賀神社へ

午前中最後の目的地、阿須賀神社(あすかじんじゃ)にもタクシーで向かいました。熊野速玉大社から熊野那智大社への道中にある神社で、社伝によれば紀元前423年の孝昭天皇の代に創建されました。熊野権現の中心的な神、家津美御子(けつみこのかみ)が初めて現れた場所とされ、神仏習合の熊野信仰と深く関わっています。境内からは弥生時代の竪穴住居跡などが見つかっていて、古代の歴史を感じさせる場所でもあります。2016年に世界遺産に登録された、貴重な神社です。

蓬莱山の麓に位置し、自然に囲まれた場所にある阿須賀神社

ランチタイムは、フレンチで腹ごしらえ

お腹が空いてきたところで腹ごしらへ。阿須賀神社からタクシーですぐの、Bistro ILE DE FRANCE(ビストロ イル・ド・フランス)でフレンチをいただきました。シェフのこだわりが光る「熊野ハンバーグセット」は逸品。店内は落ち着いた雰囲気で、様々なシーンで利用できます。

季節ごとに変わるコース料理

〈2日目午後〉神仏習合の歴史を見る、熊野那智大社と那智山青岸渡寺

写真スポットでもある大門坂を歩く

お腹が満たされたところで、午後は1日目のように徒歩で熊野古道を巡ります。熊野古道の中でも、いにしえの面影を色こく残している「大門坂」を歩きます。聖地「那智山」へと続く約640mの苔むした石畳と周囲に伸びる樹齢800年を越す杉は、パンフレットの表紙やポスターに選ばれるほど美しい場所。写真スポットとしてもおすすめです。

大門坂入口からスタート

熊野那智大社までは約40分。延々と石段が続いていますが、聖地の澄んだ雰囲気と日本の自然が調和した美しいルートで、古道の趣を感じられ飽きることはありません。途中、多富気王子(たふけおうじ)という中辺路最後の王子に立ち寄ることもできます。

歴史の厚みを肌で感じられる大門坂

栄華を極めた熊野那智大社に到着

待ちに待った熊野詣での最終目的地、熊野那智大社に到着しました。鎮守山の緑に映える鮮やかな社殿を目にした瞬間、ここまでの疲れが吹き飛びました。人々の縁や願いを結ぶ宮として知られ、かつては熊野信仰の中心地として栄華を極めました。本殿前の内庭には、神武天皇を大和に案内した八咫烏(やたがらす)が、大任を終えて石化したといわれる「烏石」が残されています。



伊邪那美(イザナミノミコト)を祀る熊野那智大社

神仏習合の歴史を伝える那智山青岸渡寺へ

熊野那智大社に隣接する天台宗の寺院、那智山青岸渡寺にも立ち寄りました。神社に寺が隣接しており、熊野の神仏習合の歴史が色濃く残る場所です。西国三十三所霊場の第一番札所でもあります。

神仏習合の名残が見られる那智山青岸渡寺

不動のパワースポット、那智御滝

言わずと知れた日本最高落差の約133mを誇る那智御滝(なちのたき)までは、歩いて20分ほど。神聖な場所として崇められてきたことに納得できる、自然の偉大さと神秘性を感じさせる場所でした。現在は、延命息災や交通・海上の安全を祈るために多くの参拝者が訪れるパワースポットとして知られています。

轟々と音を立てて落ちる那智御滝

“帰るのを忘れさせるほど心地よい”「ホテル浦島」


この日の宿泊先は「ホテル浦島」。那智勝浦温泉に位置するリゾート施設で、小高い山になった岬が丸ごとホテルになっています。素晴らしい眺望とさまざな温泉が自慢です。 最大の魅力は、太平洋の絶景を一望できる大洞窟風呂「忘帰洞」。大正時代、徳川頼倫公が「帰るのを忘れさせるほど心地よい」と誉めて名付けたとのことですが、その意味がよくわかりました。この他5か所の天然温泉があります。今回のプランで宿泊する和室山上館宿泊者限定の逢峰の湯もあり、特別な時間を過ごせます。食事はまぐろを中心としたバイキングです。

〈3日目〉熊野を降りて、白浜町で絶景とグルメを楽しむ

一度見たら忘れない絶景、円月島

3日目の朝は、ホテル浦島からタクシーに乗って白浜空港近くの円月島(えんげつとう)にやってきました。円月という名前通り、月の形をした美しい岩山が特徴であり、夕日や満月の光を浴びると幻想的な姿を見せるそうです。周辺の海岸線は透き通っていて青々とした松の木と調和し、絶景が広がっていました。静寂さも相まって、心癒されました。

幻想的な雰囲気の円月島

とれとれ市場で海産物をいただこう

円月島の後は、とれとれ市場で自由時間を楽しみました。新鮮な魚介類や海産物、地元の野菜や加工品などを楽しめる市場です。市場内の食堂ではその場で購入した海産物を調理して食べることもできます。観光客向けのお土産物も多数販売されています。

とれとれ市場を目一杯楽しんだ後は、タクシーで南紀白浜空港へ。アクティビティに歴史に自然にグルメにと、充実した2泊3日を過ごしました。

鮮魚が並ぶ市場

ツアーの詳細情報

JALパック
和歌山県 世界遺産「熊野古道」をめぐる紀伊山地の参詣道散策 3日間
https://www.jal.co.jp/jp/ja/domtour/jaldp/kumanokodo/?utm_source=ikkojin&utm_medium=article&utm_campaign=21_adventure

日本航空のアドベンチャーツーリズム(AT)推進
JALはATを日本の観光産業の重要な事業領域と位置付けており、魅力ある商品造成・販売によって旅行者に新たな体験価値を提供する取り組みを行っている。また、AT市場がまだ成熟していない日本において、ATの認知向上を図る「普及活動」、地域毎の「受入環境整備」やATを牽引する人材を育成するための「AT推進人材養成」を推進し様々な課題の解決に取り組んでいる。


取材協力・写真提供◉日本提供

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