越前(福井県)の戦国大名・朝倉氏の拠点として栄え、一乗谷城と城下町までが遺構として保存されている特別史跡「一乗谷朝倉氏遺跡」。2022年10月に朝倉氏と一乗谷の歴史を伝える施設としてオープンした「福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館」で現在、北陸新幹線福井・敦賀開業を記念した特別展の第Ⅲ期が開催されています。9月1日までです。
実物の蹴鞠伝書に見る、朝倉氏と蹴鞠の関わり
最終となる第Ⅲ期は「蹴鞠と庭が語る戦国」と題し、越前と関わりの深い蹴鞠が取り上げられています。戦国大名にとって、蹴鞠は欠かすことのできない教養でした。朝倉氏に伝授された華やかな蹴鞠伝書などを通して、蹴鞠の実像に迫ります。
天皇や公家、全国の戦国大名らへ、和歌と蹴鞠を教えた「飛鳥井氏(あすかいし)」は、朝倉氏とも交流がありました。同展の見どころの一つである「飛鳥井宋世蹴鞠秘伝書」は、のちの朝倉氏4代当主・孝景へと伝授された貴重な実物資料です。蹴鞠の作法や技が十二条で著されていて、中には難度の高い技として知られる「延足(のべあし)」(スライディングキックに近いもの)などの項目もあります。7月28日(日)までは全面を一挙公開、それ以降は一場面が展示されます。
約500年に及ぶ、越前と飛鳥井氏の交流
飛鳥井氏の6代目当主は越前の出身で、飛鳥井氏にとって越前は特別の存在であったことが推察されます。応永34年(1427)に越前の「天皇の宮」を訪れた飛鳥井氏6代当主の紀行文と、江戸時代前期に飛鳥井氏14代当主から天王宮(=天皇の宮)の宮司に伝授された免状、昭和6年(1931)に八坂神社(=天王宮)に飛鳥井氏27代当主が奉納した鞠から、越前と飛鳥井氏との交流が、6代当主から27代当主に至る、約500年に及ぶことがわかります。紀行文と免状、鞠はいずれも初公開資料です。
蹴鞠や饗宴の舞台となった「庭」を知る
特別史跡「一乗谷朝倉氏遺跡」は、戦国大名館の全体像を読み取ることができる、全国でも稀有な遺構です。同展では、蹴鞠の舞台となった「鞠庭(まりにわ)」や、儀式・饗宴の舞台となった「広庭(ひろにわ)」などの庭についても紹介されています。
桜の下で蹴鞠をする公家たちを描いた金屏風「花下蹴鞠之図」は伝尾形光琳筆で、紀州徳川家旧蔵の名品です。桜は平安時代に特に好まれた植物で、江戸時代に至るまで描き続けられた画題の一つでした。
このほか、擬人化されたカエルや猿が蹴鞠に興じる「鳥獣人物戯画 丙巻(模本)」(京都市立芸術大学芸術資料館蔵・明治時代)なども展示されています。
関連イベントも多数
蹴鞠実演・体験(7月28日)や、記念庭園見学会(8月4日)、記念シンポジウム「庭園からみえる戦国大名の権威」(8月10日)なども予定されています。時間や定員、応募方法などの詳細は、同館ウェブサイト(https://asakura-museum.pref.fukui.lg.jp/event/archives/112)でご確認ください。
5組10名様に招待券プレゼント
夏休みやお盆休みの旅行先として、ぜひ一乗谷を訪れてみてはいかがでしょうか。同展の招待券を抽選で5組10名様にプレゼントします。応募受付は7月31日まで。たくさんのご応募をお待ちしております。
↓応募はこちらのURLから
https://forms.gle/8dgR3LZp2QfD2bCH7
開催期間:2024年7月13日(土)~2024年9月1日(日)
場所:福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館 本館2階 特別展示室
住所:〒910-2151 福井県福井市安波賀中島町8-10
料金:一般・大学生1200円、高校生800円、70歳以上700円、小中学生500円 ※団体等割引等あり・復原町並との共通観覧券あり
休み:8月7日(水)は特別展のみ休み
お問い合わせ先:福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館
TEL:0776-41-7700
https://asakura-museum.pref.fukui.lg.jp/about/