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TOKYOカントリーロード~ぶらり多摩

べらぼう美味い食彩の秘密は「人」にあり。
檜原村(ひのはらむら)とあきる野市をのんびり食べ歩き。30市町村からなる東京西部の多摩エリアは自然にあふれ、食の恵(めぐ)みが豊かな地域。今回は都会のそばにある田舎で、本当に美味くてカラダに優しいグルメを紹介する。

取材・写真・文◉山﨑 実(『一個人』編集部)


豊かな自然と食の恵みに人のこだわりが隠し味

「こういうところがいいんだ!」と50歳を超(こ)えて現在感じたい喜びは「ささやかな幸せ」体験。ギトギト油のラーメンやギンギンギラギラの焼肉にときめかなくなる年齢になると、なぜか納豆や味噌汁、地の野菜が美味しく感じる。そこに香り豊かなワインでもあれば言うことなし。
 そんな「ささやかな幸せ」が東京の田舎である多摩エリアで体験できる。地方の読者の方は「田舎の東京って何だ⁉」と思うだろう。しかし東京の半分近くは多摩エリアで緑地も農業も減りつつあるが、健在だ。ジブリ映画も多摩から生まれている。今回、東京本土唯一(ゆいいつ)の村である檜原村と市制30周年を迎えたあきる野市で、豊かな自然の恵みである地元の食材を使ったお店へ食べ歩きをしてみた。地産地消(ちさんちしょう)でおまけに手作りとくれば、中年過ぎの人間の胃袋には優しい。これから紹介するお店はみんな「美味さへのこだわり」をもって営業しているお店だ。こだわりを持つのは人。人の生き方がまさに「美味さ」につながっていることを保証したい。さっそく、見ていこう!
 あっ、最後に、多摩エリアの観光ではカッコつけず、のんびりとぶらつくこと。これが「ささやかな幸せ」には必要条件なのです。

檜原村

晴ノ舎(はれのや)

檜原村が好きになって移住した店主の想い
地元野菜をふんだんに使ったランチは絶品!

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▲地元の野菜と特産品をふんだんに使った季節のランチプレート(税込1800円)は一品一品が濃厚な口当たりで「野菜の味の深さ」に思わず感動
▲柱が高く、木の温もりを感じる間取り。歴史を積み重ねた古民家ならではののんびりできる感覚が嬉しい

古民家カフェ 晴ノ舎
檜原村人里(へんぼり)地区にある登録有形文化財「旧高橋家住宅(医者殿)」は江戸時代につくられたかぶと造りの民家であり、同カフェは住宅内にある。檜原村の地域おこし協力隊を経てこの村に魅力を感じ、千葉から移住してきた店主の土井智子さん。料理の美味さの秘密は土井さんの檜原村愛だ
住所●東京都西多摩郡檜原村人里2032
交通● JR武蔵五日市駅からバス約40分「西川橋」下車徒歩約3分
☎050-3700-6315
営業●11時~16時(L.O15時)
休日●12~2月まで月・火・水曜日

井上食品

まるでマグロのお刺身を食べているような食感
こんな美味いこんにゃく食べたことがない!

▲「バッタ練り製法」でできたこんにゃくの刺身は、えぐみがなく本マグロの赤身のようなねっとりとした味。煮物にしても出汁がよく染み込み美味しい
▲3年かけて育てたこんにゃく芋はまとめて収穫し、冷凍保存して年間の製造をまかなう。「バッタ練り製法へのこだわりが美味しさの秘訣」だと井上文喜社長
▲バッタ練り製法の工程。手間をかけてすりおろした生芋を成型器のなかへ。バッタバッタ音を立てて気泡が生まれ美味しいこんにゃくとなる


井上食品
江戸中期に始まった檜原村のこんにゃく芋栽培。かつては原料出荷だけだったが地元で製造も始めたのが同社。半世紀を超え、全国で愛されるこんにゃくに。今も変わらず「バッタ練り製法」にこだわり、手間ひまかけてつくるこんにゃくは臭みがなく、お造りを食べている感覚になるのだ
住所●東京都西多摩郡檜原村人里1800
交通●JR武蔵五日市駅よりバス約40分「人里」下車徒歩約1分
☎042-598-6068
営業●8時30分~17時(売店)
休日●年始(1月1日~3日)

あきる野市

みつばちファーム

50年前にアルゼンチンで学んだ養蜂家が伝える自然とハチミツとの味わい深い関係

▲巣の中で貯蔵されたものから遠心分離器機にかけてハチミツを搾る。香りや味は蜜源植物によって様々だ

▲写真左から 「ひまわり」 「ふじ」 「アカシア」 と花の種類によってこうも色が異なる。カフェでは好きなハチミツを選べるジェラートも楽しめる

みつばちファーム
50年前に単身でアルゼンチンに渡った養蜂家・犬飼博社長の想いが詰まったハチミツが堪能できる。特徴は定置養蜂。あきる野に咲く花々から集めてきた蜜を純度100%で天然熟成。犬飼産オススメは「金色の蜜」といわれるアカシアの蜜。ミュージアムで自然と養蜂の関係が楽しく学べ、カフェではスイーツも楽しめる
住所●東京都あきる野市上ノ台37-3 
交通●JR武蔵増戸駅から徒歩約10分
☎042-519-9327 
営業●10時半~17時(ミュージアム、カフェともに) 
休日●水曜日

ヴィンヤード多摩

ワイン好きが高じて自社ワイナリーを経営
100%あきる野産で風味も抜群

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▲0.9haの広さをもつ自社ワイナリーから香り豊かなぶどうが育ちあきる野のワインが生まれる
▲あきる野産ブドウを100%使用。左から 「東京ブラン2023」 「東京ルージュ2023」「東京ロゼ2023」
▲口に含んだ時の甘みとぶどうの深い香り、のどに落ちる清涼感を味わえる
▲歯科医師で同社専務の中野多美子さん。「ワインづくりで人々を笑顔にしたい」 と語る

ヴィンヤード多摩
現役歯科医師でありながら夫妻のワイン好きが高じ、自社畑でぶどうを育て敷地内の醸造所でワインづくりを始める。ワイン生産を通じた農福連携による社会貢献を理念にワイナリーを経営する。「好き」から生まれるワインの味は格別。飲むことで社会貢献に参加できている気分にもなれる
住所●東京都あきる野市上ノ台55
交通●JR武蔵増戸駅から徒歩約10分
☎042-533-2866
営業●13時~17時(土日祝11時~17時)
休日●火曜日

必ず行ってほしいイチオシSPOT

たっぷりのマイナスイオンに包まれ深呼吸するだけで心が安らぐ

払沢(ほっさわ)の滝

森と水、そこに滝があれば、それだけで行く価値がある。東京で唯一「日本の滝百選」に選ばれた払沢の滝。秋川の源流沢の奥地にある滝は4段からなり全長60m。実際に見られる落差26mの最下段の滝ではまず、落水音に心地よさを覚えるはず。豊かな森の遊歩道は歩きやすく、マイナスイオンが漂う空気に体全体が包まれ癒される。人生半周を過ぎ、全国の名勝を取材した後にたどり着いた正直な思いは、穏やかで空気の澄んだ水源豊かな場所こそ心から安らげるということ。払沢の滝はまさにそんな場所だ
住所●東京都西多摩郡檜原村本宿5545
交通●JR 武蔵五日市駅からバス約20分「払沢の滝入口」下車徒歩約15分

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