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知る人ぞ知る予約制の寺院3選|隠し階段や落とし穴があるお寺も

苔寺だけではない 完全予約制のお寺

 多くの寺社は、拝観時間内ならいつでも訪問することができる。近所はもちろん、出張先や旅先でふらりと立ち寄れる気軽さが魅力だ。しかし、なかには完全予約制をとる寺社も存在する。その代表例が、京都にある西芳寺、通称「苔寺」だ。

 苔寺は奈良時代に行基が開創したといわれる、由緒ある臨済宗の寺院だ。室町初期には、臨済宗の禅僧で、庭園の設計も手掛けた夢窓疎石によって再興されたという。枯山水と池泉回遊式の庭園を上下二段に構えていて、約120種もの苔が敷き詰められている。1994年には、古都京都の文化財として世界遺産に登録された。

 かつてはこの寺も自由に拝観することができたが、参拝客のマナーなどが問題視されて1977年より事前予約制をとることになった。拝観するには、希望日の1週間前までに必要事項を記載した往復はがきを送らなくてはならない。

 希望日の約2か月前から予約を受け付けているが、応募者の多いゴールデンウィークなどは希望がかなわない場合もある。また、予約ができたとしても時間は指定することができず、まずは写経などの宗教行事に参加することが条件だ。簡単に拝観できるわけではなく、しかも京都駅からバスで1時間ほどかかるという立地でありながら、京都でも人気の高い寺院である。

 その理由は、やはり苔むした美しい庭園にある。さまざまな濃淡の苔が一面に広がり、まるで別世界へたどり着いたような感覚さえ覚える。拝観人数を制限することでゆっくりと庭園鑑賞を楽しむことができ、時間を忘れてしまいそうになるほどだ。

通称「忍者寺」妙立寺 写真提供:金沢市

 ほかにも、予約制を取る寺院は各地にあり、石川県金沢市の妙立寺もそのひとつだ。江戸初期に創建され、金沢城の防備としての役割も果たしていたという。そのためか、迷路のような造りであり、さらに隠し階段や落とし穴としての細工が施された賽銭箱など、さまざまなからくりが見られるのが特徴だ。こうした造りから「忍者寺」とも呼ばれている。

 予約は希望日の3か月前から電話にて受け付けている。未就学児の拝観は不可で、低学年の場合は保険証などの身分証が必要だ。各日定員制となっており、空きがあれば当日予約も可能とのこと。

 奈良県斑鳩町の融念寺も完全予約制だ。国の重要文化財に指定された地蔵菩薩立像と聖観音立像が安置されている。地蔵菩薩立像は右手で衣の裾をつかんだ珍しいスタイルで、その繊細さと神秘的な表情に魅了される仏像ファンもいるほどだ。

 観光寺院のにぎわいも旅の気分を盛り上げてくれるが、こうした予約制の寺院のよさは混雑を避けられることだ。予約しないと拝観できないという制限があるからこそ、特別な気持ちで仏像などに向き合うことができる。大人の旅に最適なスポットといえるだろう。

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