奇癖のあるスパイが創作
J.M.ジンメルの傑作スパイ小説『白い国籍のスパイ』には、数々の料理が登場する。主人公が変わり者で、危機に陥るたびに料理を作って振る舞う奇癖があるのだ。毎回詳細なレシピも紹介されるので、スパイ物好きだけでなく、料理好きにとってもたまらなく面白い小説であります。
僕にとって見逃せないのは、たまに登場する缶詰料理だ。その中のひとつ、コンビーフを使った「魔法のコンビーフ」を食べたくなって、再現してみた。「魔法の」という名が付いているのは、貧しい人にとってコンビーフが憧れの存在だから。この小説の舞台設定は、第二次世界大戦中から戦後間もない頃のヨーロッパなのだ。
現代の日本でも、コンビーフは高級品であります。牛肉100%で作るコンビーフは、1缶70g〜90gで、だいたい400円ほど。若い頃には、滅多に買えない贅沢品でありました。
RECIPE!!(1缶で2人分)
(1)玉ねぎの輪切り(1/2コ分)とバター10gをフライパンに入れて弱火に掛け、じっくり炒める
(2)玉ねぎが透明になったらコンビーフ1缶、ジャガイモのピュレ(コンビーフと同量)を入れて混ぜながら炒め、塩コショウで味を調えれば缶成! なおジャガイモのピュレは作るのが面倒なので、インスタントマッシュポテトで代用するのがオススメ