二礼四拍手一礼、八度拝八開手もある
神社参拝時の作法としては、「二礼二拍手一礼(二拝二拍手一拝)」というスタイルが一般的だ。まずは鈴を鳴らしてからお賽銭を入れ、深い礼を2回行う。その後、柏手(拍手)を2回行い、さらに深い礼を1回するという流れだ。しかし、出雲大社や宇佐神宮などでは「二礼四拍手一礼」となる。
出雲大社の場合、5月14日の例祭では拍手を8回行う。この例祭はもっとも大きな祭典であり、このときに無限という意味がある「8」回の拍手を行うことで神を限りなく讃えることを表すという。通常はこの半分の数を作法としているので、「四拍手」となるわけだ。
この通常時の二礼四拍手一礼も、正確には「一拝・祈念・二拝・四拍手・一拝」となる。まずは体を90度に曲げた深いお辞儀をし、もう一度深くお辞儀をしてから祈念する。そして、さらに2回、深くお辞儀をしてから拍手を4回行い、最後に深くお辞儀をするという流れだ。
神社でお願いごとをする際、柏手を打つときなのか、最初と最後、どちらの礼のタイミングで行うのか、悩むことはないだろうか。これも神社によって異なるようだが、出雲大社では拍手よりも先にするとし、拍手は右手を少し引くように合わせ、胸の高さにするとよいとされる。
神社の中でも最上格である伊勢神宮ではどうかといえば、「八度拝八開手」という作法がある。これは8回の深い礼の後、拍手を8回するというものだ。しかしこれは、祭祀の際に神職が行うものであり、一般参拝なら二礼二拍手一礼で問題ないようだ。
このように神社ごとに異なる作法が見られるが、二礼二拍手一礼が定着したのは明治以降で、古来は「三礼三拍手一礼」だった。
これは、造化三神とされる天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、高皇産霊尊(たかみむすびのみこと)、神皇産霊尊(かんみむすびのみこと)を拝むからという説がある。同じ神道であっても、時代や場所によって作法が異なるので覚えておきたい。
いずれにしても、大切なことは神を讃え、敬う気持ちではないだろうか。参拝するときにはつい願い事が先になってしまいがちだが、まずは感謝をすることが大事とされる。大事なことをお願いしたいときには、作法を意識しつつもこの感謝の気持ちを忘れないようにしたい。