初詣は鉄道会社がつくった習俗?
皆さんはもう初詣をすませただろうか? それは、神社? それともお寺でしたか?
実は、同じ初詣でも、神社とお寺では意味が違っているのだ。
ちなみに、「初詣」という言葉は明治以降に登場したものだ。
九州産業大学の平山昇先生の研究によれば、「初詣」は鉄道会社が集客のために広めた「習俗」で明治18年(1885)頃に登場したという(『鉄道が変えた社寺参詣』)。
しかし、それ以前は、三が日に寺社詣でをしなかったのかというと、そうではない。たとえば、天保9年(1838)に刊行された『東都歳時記』の元日の項にはこう書かれている。
「神田社。芝神明宮。深川八幡宮。市谷八幡宮。御蔵前八幡宮。その余、諸神社参詣多し。(略)◯恵方参詣社。」
最後の「恵方参詣社」とは、恵方(年神がその年いる方角のことで、縁起がいい)にある神社を参拝することをいう。
この恵方参りが初詣の起源となったともいわれるが、住んでいる土地の産土神(土地を守る神さま、今は氏神ということが多い)の神社を詣でることが一般的だった。
『東都歳時記』には記されていないが、先述のようにお寺では正月に修正会が行われたので、有名寺院も参詣者で混み合っていたはずだ。
さて、そこで初詣の意味である。
お寺で正月の初めに行われる修正会(修正月会)は、過ぎた年の罪を懺悔し仏を讃えることで災害がなく実り豊かな一年になることを願うものである。
これに対して神道では、正月はすべてのものが新たな生命力を得る時期と考える。神さまも同様で、新年の新鮮なエネルギーに満ちたお供えを受けてみずみずしい力を得られる。
参拝者は一年間守っていただいたことを神に感謝し、この神の力を分け与えてもらうのである。