全国に誇る和歌山の名産品を厳選!
和歌山県は日本最大の半島、紀伊半島の南西に位置し、総面積4725k㎡に及ぶ県内は南北に渡り海や山、河川などダイナミックな自然が続く。かつ高野山、熊野古道など世界的に有名な歴史的資産も多く、こうした背景のもと、同県には古くから様々な産業や文化が根付き、代々受け継がれながら発展してきた。
「和歌山は自然環境に恵まれる一方、度々台風などの脅威にも晒され、人々の心には自ずと自然に対する感謝と畏怖が染み込んでいるんです。そうした事情からでしょうか、和歌山は産業や文化にも特色があると思います」
和歌山県庁の企業振興課・産業ブランド推進班で班長を務める高橋恭さんは、同県の名産品や文化資産についてこう解説してくれた。和歌山は金山寺味噌や醤油などの発祥地でもあり、元来、自然の恵みに手を加えよりよいものを生み出す手腕にも長けているという。
「こうした、和歌山ならではの自然や先人の知恵で生まれた製品や文化は大切な財産です。体系化して未来に伝えていくべきだという論調が深まり、『プレミア和歌山』が生まれたのです」
プレミア和歌山は、和歌山県で生産、製造された名産品の魅力を訴求すべく制定された制度で、対象は農産物等の生鮮品、加工食品、民芸品や工芸品ほか、祭りなどの観光資産も含まれる。形態は多岐に渡るが、いずれも和歌山ならではのものであることが重要だという。
「さらに今日的な観点から、安心・安全であることも重視しています」
2008年に始まったプレミア和歌山は年度毎に審査を経て、各分野の“推奨品”が決定する。推奨品の審査過程は、どのようなものだろうか?
「事業者から申請された商品の中から県により分野ごとに定めた基準・要件を満たしているかの審査及び法律に準拠しているかの審査を経て、審査委員会による現物審査をもとに知事が決定します」
審査委員会は各種の専門家で構成され、客観的な審査を実施。さらに推奨品は5年毎の更新申請で再審査され、常に一定の品質が担保される仕組みだ。
「審査委員会で高評価を受けたものの中から特別賞候補が複数選ばれ、最も優秀なものが特別賞、その他が奨励賞となります」
推奨品に宿る生産者の〝思い〟を知る
令和2年度の特別賞は和歌山の新たな和牛ブランドの「紀州和華牛(きしゅうわかうし)」。
一般的な黒毛和牛に比べ脂身が少なく、和牛本来の旨味が味わえ、ヘルシーなのが特長だ。
「飼育が難しい赤身の多い牛を、みかんジュースと醤油の搾りかすを混ぜた飼料で丹精込めて育て、出荷しています。地産の飼料を使うだけでなく、本来は廃棄されるみかんジュース等の搾りかすを利用するエコな手法や、脂身が少なく健康的であることも評価され特別賞となりました」
このようにプレミア和歌山の品目はいずれも確かなクオリティに加え、それぞれの物語を秘めているのだ。高橋さんは「プレミア和歌山はコンテストではなく、土地に根ざした様々なものの真価や魅力を広く伝える制度なんです」と話す。
美味しく愉しく、日々を豊かに彩る逸品の数々……新鮮な、和歌山の魅力
との“出合い”が待っている。
「プレミア和歌山」に選ばれた精鋭をピックアップ!
紀州和華牛
県内産のみかんジュースや醤油の搾り粕を使った飼料〝エコフィード〟で育てた黒毛和牛は脂肪肉を通常より10%程度減らすことに成功。一方ビタミンEは約1.7倍で、和牛の赤身の美味しさを健康的に堪能できる。
超熟しらぬい
早めに収穫して追熟させる一般的な方法ではなく、樹上でギリギリまで熟すことで果実の美味しさをたっぷりと凝縮。収穫後、新鮮な葉をつけたまま出荷するので見た目も美しく、贈答用にも人気。
温暖な日高川町で温州みかんや超熟しらぬいを作る、家族経営の農園。
熊野本宮・釜餅(よもぎ)
もち米を釡で炊き、すりこぎでもち米の食感を適度に残す“半搗(はんつ)き”で搗(つ)いたよもぎ餅。中のつぶあんも自家製で、旬に摘んだよもぎの上品な香りとのハーモニーが絶品!
熊野の歴史・文化を今に伝える丹念な製造工程が評価され推奨品に。
紀州南高梅ひつまぶし
地元・田辺で作られる梅を3種用いたひつまぶしは食べ進めるとともに多彩な味わいが楽しめる。一般に相性がよくないとされる鰻×梅の取り合わせを逆手に取った看板商品。
「太田商店」は田辺市で昭和11年に創業した老舗の鰻専門店。