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世界に挑戦する小さな映画制作会社【挑戦する一個人】

 日本の映画を世界に。映画界という新規参入のない世界に、資金ゼロ、経験ゼロ、人脈ゼロの状態から挑むTokyoNewCinemaの木ノ内輝さん。あたらしい世界へ飛び込んだ体験、そして木ノ内さんのこれからを伺った。


 映画の制作・配給を行うTokyoNewCinemaの代表・木ノ内輝さん。映画業界に、人脈も資金もなく乗り込んだ。『やがて海へと届く』の中川龍太郎監督や、絶賛公開中の『わたしの見ている世界が全て』の佐近圭太郎監督らと高品質な作品を送り出し業界内で独自の存在感を放つ。「固定観念に囚われないことが大切なんです」そう語る木ノ内代表が今に至る道は決して平坦ではなかった。大きなきっかけとなったのは2017年にプロデュースし『四月の永い夢』が第39回モスクワ国際映画祭「国際映画批評家連盟賞」と「ロシア映画批評家連盟特別表彰」をWで受賞したこと。これも、海外プログラマーにメールで直接アポを取り、滞在先のベルリンまで直接DVDを渡しに行ったりと、足を使った努力で猛アピールした。当初、劇場で作品を上映することにも困難が立ちはだかった。新規参入の少ない業界ゆえ大手配給会社以外が映画館に映画を卸すことが難しいのだ。

 だから、独立系の映画館に直接、片っ端から直接連絡し、自分たちの映画を上映してもらえるようにお願いしてまわった。やり方がわからないことを、やれることをやって道を作っていった。しかし、コロナ渦が加速させた社会の変化は映画業界にも波及している。中規模作品の上映環境、興行は厳しいものになってきており、映画館に映画を見に行くという娯楽そのものの形が変わってきているというのだ。そんな社会の中でどう自分たちが在るべきか、木ノ内代表は有名ブランドになぞらえて語る。「エルメスって元は馬具メーカーで、実は今も馬具を作り続けています。でも、移動の主流が馬から車になったとき、需要の変化に合わせてプロダクトの主軸を今の形に変えたんです。自分たちの持っている技術を生かして、人に求められる高品質なものを提供し続けているんですよ」映画を大切にしていきたい。だからこそ、映画以外のクリエイティブも追求していきたいという木ノ内さん。ストリーミングサービスと協業してのドラマ制作やSNS動画、CM作成など、あらゆる分野で高品質な作品を提供している。「私たちの持っている技術で様々なパートナーさんたちとクリエイティブを形にしていきたいですね」町田の小さな映画会社の挑戦は続く。

【映画『わたしの見ている世界が全て』 Filmarks初日満足度ランキング1位!】
ベンチャー企業で活躍していた熊野遥風。しかし、目標達成のためには手段を選ばない性格が災いし、パワハラを理由に退職に追い込まれる。復讐心に燃える遥風は、自らの事業立ち上げのため、兄弟に実家を売って現金化することを提案。興味のない姉と断固反対する兄と弟。遥風は家族を実家から追い出すため「家族自立化計画」を始める。
©TOKYO NEW CINEMA

プロフィール : 木ノ内 輝(きのうち ひかる)
Tokyo New Cinema代表取締役。北海道生まれ。ハーバード大学研究室在籍中にボストン国際映画祭にて最優秀撮影賞を受賞。帰国後、東京国際映画祭にて3回入選、モスクワ国際映画祭にてダブル受賞を飾る。青山学院大学総合文化政策学部教員。

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