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読切

DNA解析からわかる、自分の健康未来予想図とは

体質的なもの以外にも、疾患の遺伝はあるのか?

取材・文/OFFICE-SANGA

前回はユーグレナ社で実施していただいた私のDNA解析の結果から、自分の祖先がどこで発祥し、どのような道筋をたどり、私という人間が日本で生を授かったのかを解説した。ハプログループのどこに自分の解析結果が属しているかにより、祖先のルーツをたどったわけだ。さらにこの解析結果からは、ハプログループの属性を調べるだけではなく、その解析結果からどのような疾患にかかりやすいか、という分析をすることもできる。

誰もが一度は家族で交わしたことのある会話に「うちは大腸がんの家系だから」「お父さんもひどい鼻炎持ちだったね」というようなものがあるだろう。疾患に対する「遺伝」に関する話なのだが、この解析結果から、これから自分がどのような疾患を患う可能性があるのか、がわかれば、入試さながらに傾向と対策をすればいいのではないか、とも思える。

私の場合、脳内出血で天寿を全うされた親族が多い。そのため、幼少のころから、食べ物に醤油をかけすぎるな、という注意をされたものだ。そうした家系の私の解析結果は、いったいどのようなものになっているのか、期待と不安が複雑にからんだ気持ちで解析結果へアクセスすることにした。

脈々と受け継がれていた疾患傾向の遺伝

最初に驚いたのは、非常に細分化された解析結果が並んでいること。同時に、人が生きているなかで深刻なものも含め、ものすごい膨大な数の疾患がある、ということだ。

部位別に見ると、12項目のカテゴリー分けがされている。「循環器・心臓」「脳・神経」「消化器」「泌尿器・生殖器」「肺・呼吸器」「内分泌・代謝」「感覚器(目・耳・鼻・口)」「骨・関節」「皮膚」「感染」「がん」「その他」に分けられたカテゴリー内には、それぞれ20~30種類程度の疾患が掲載されている。

部位ごと、体質ごとにそれぞれ12種類に細分化された分析データ

そして、それぞれのリスクが平均値に対して倍数表示され、将来的に発症する可能性が「高い」「平均的」「低い」の3段階で表示されている。さらに、その疾患ごとの詳細ページが用意され、疾患の概要と発症要因を解説、解析データから自分の遺伝子型とリスクがグラフで表示されている。

私の場合、まず父方の脳梗塞が気になったので「脳・神経」から確認することにした。WEB画面の都合上、すべてをお見せできないが、上位に来たものが画像1だ。なるほど、脳動脈瘤が1位に君臨している。リスクは1.28倍であり、将来的に発症する可能性は「高い」となっている。どうやら父方の遺伝は、私にもしっかり受け継がれているようだ。

リスクの高い順番に、疾患名と分析結果が並ぶ

では、具体的にはどうしたらいいのか、詳細を確認することにした。そこには、脳動脈瘤という疾患がどのようなものなのか、が明記されていた。脳内の動脈の一部にこぶ状の膨らみができ、突然破裂して脳内出血を引き起こす。これがクモ膜下出血の原因となりえるという。仮に破裂しなくても、大きくなると神経を圧迫し、神経症を発症することもあるのだとか。加えて、40歳以降の発症例が多く、50歳を過ぎた私はその渦中にいることになる。予防方法自体は解明されていないが、喫煙や飲酒が要因となりうる可能性は高く、どちらも好む私はまさにレッドゾーンといえるだろう。

とはいえ、明確な要因がわからない以上、早期発見がいちばんの予防ともいえる。それゆえ、解析データ内でも、定期的なMRIやCTによる検査をすすめていた。

詳細ページでは、疾患の概要と予防方法、自身の遺伝子型におけるリスクがグラフ表示されている

解析結果から傾向と対策を施して作る自分の健康未来

とにかく驚いたのは、非常に細分化された解析結果が並んでいること。同時に、人が生きているなかで深刻なものも含め、ものすごい膨大な数の疾患がある、ということだ。健康的に生きる、というテーマの書籍やWEB記事が溢れかえり、数多くの見識者たちが、研究を重ねた結果から導き出した理論や手法で指導をされている。しかし日頃から、健康のことなど考えず無頓着に生きている私からすれば、健康であることは当たり前であり、病気になったら病院で治してもらえばいい、という意識だったことは否定しない。

しかし、この解析結果に列挙されている数多くの疾患を見て、自分が生きているなかで、常にこうしたリスクが陰に潜んでいたということをようやく自覚したといえる。健康とは当たり前なのではなく、日々の暮らしのなかで築いていくものなのである。そして、健康であることに感謝をすべきなのではないだろうか、という思いに至った。

何かを妄信することには賛成しない、というのが私の考え方ではある。しかし、50歳を過ぎて数年、若いころと比べて、不具合があちこちに散見していることは否定できない。人の体とは船であり、人生とは荒海の航海であろう。脳という船長がいて、この航海を渡っているに違いない。そしてこの航海を満足いくものとするのであれば、やはり船体をいたわる必要があるのだ。疾患とはつまり、船体の損傷なのではないだろうか。損傷個所は修理すべきであるが、大切なことは損傷しないような舵取りなのだ、という気持ちがどこからか湧いてきた。

自分の未来に何が起きるのか。それは時間という川の流れのなかで生きている人類にはわかるはずもない。しかし、DNA解析とそのビッグデータから、どのような傾向になるのか、ということはわかるようになってきた。そしてこの解析結果とは、健康的な生活を過ごしたい私たちにとって、生きているという航海のなかで自らが船長である自覚が大切であり、その一助になることを示している海図であるに違いない。

■今回の遺伝子解析に利用したサービス
「ユーグレナ・マイヘルス」
健康リスク・体質の遺伝的傾向と祖先のルーツの300項目以上を解析できる遺伝子解析サービス。
\32,780(税込)
https://myhealth.euglena.jp/products/gene_analysis/

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