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ネコやウサギ、カッパも!? 「狛犬」はバラエティ豊富|「狛犬」と呼べるのは左側だけ

向かって左が狛犬、右は獅子

口を開けていて角がないのは「獅子」

 神社へ行ったときの楽しみのひとつに、「狛犬」鑑賞がある。参道や鳥居前、社殿の前庭などに置かれた一対の石像で、神を守るとされる。神社ごとに表情が異なり味わい深いのだが、どれも一般的な犬の姿には見えないのはなぜか。

 そもそも狛犬とは「狛の犬」ではなく、「狛犬」という名の霊獣だ。想像上の存在であり、実在はしていない。一説には、インドなどでは仏像の前にライオン像が二体置かれており、これが起源になったとされる。

 日本には飛鳥時代に伝わったとされ、当時は皇室を守る存在として屋内に置かれていた。これが屋外へ置かれるようになったのは江戸時代のこと。きっかけは、日光東照宮の徳川家康の墓前の一対の狛犬。それから参道などに置かれるようになったという説がある。

 鎌倉、室町時代あたりまでは、狛犬といえば木造のものが多かった。しかし、屋外に置かれるようになると、雨風に耐えられるように石像が増えていく。

 現在は一対の像をどちらも狛犬と呼ぶが、厳密には向かって左のみが狛犬に該当する。よく見ると口を閉じていて、角が生えているものが多い。それでは、向かって右にあるのは何かといえば「獅子」であり、口を開けていて角がないのが特徴だ。

 この口を開けた姿は、仁王像を思い出させる。どちらも口を開けた「阿形」と口を閉じた「吽形」が対になっていて、こうした狛犬は仏教の影響を受けているとも考えられている。

ウサギ、サル、ネコなども

 このように、狛犬と獅子が対になっているのが一般的だが、なかにはほかの動物の姿をしたものが各地で見られる。

 たとえば、埼玉県さいたま市の調(つき)神社には、ウサギが置かれている。調神社はその読みから月待信仰の中心になっており、月神の使いとされるウサギを置いたとされる。境内に入ると手水所や噴水などにもウサギのモチーフが見られ、御朱印にもウサギがあしらわれている。

 猫の場合は、養蚕が盛んな地域に多く見られ、京都の木島神社が有名だ。丑年生まれの菅原道真を祀る天満宮には牛が、カッパ伝説が残る岩手県遠野市の常堅寺、愛媛県西予市の若宮神社にはカッパが置かれている。

 ほかにも、トラやサル、シカなどを置く神社もある。こうしたものは神の守護ではなく使いとされることが多い。また、「狛猫」「狛猿」などといわれるが、前述のとおり狛犬とは狛の犬ではないため、正確には「猫の像」などと呼ぶのがいいのかもしれない。

 ここではすべて狛犬とするが、その姿や造りを見ると、その神社の起源などがうかがえるものだ。神社へ足を運んだ際は、ぜひともその姿をじっくり鑑賞してほしい。

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