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初春を彩る「梅」が付く珍名さん|「梅干野」という難読希姓も

珍名「梅干野」は「保谷」と同じ由来?

日本各地で梅の花が咲き始まった。日本三名園の一つである水戸市の偕楽園には、約3000本の梅の木が植えられており、来月には満開を迎える。
梅は、もともと中国が原産地で、奈良時代初頭までには「漢方薬」として日本に伝わったとされる。今日においても、梅の花を見たり、梅干しを食べたりと、梅は日本人にとって欠かせないものとなっている。

梅に関する名字は多い。梅(うめ)・梅枝(うめえだ)・梅香(うめか)・梅垣(うめがき)・梅景(うめかげ)・梅木(うめき)・梅国(うめくに)・梅咲(うめさき)・梅里(うめさと)・梅園(うめぞの)・梅名(うめな)・梅庭(うめにわ)・梅花(うめはな)・梅鉢(うめばち)・梅松(うめまつ)・梅見(うめみ)・梅ケ枝(うめがえだ)などがある。
これらの名字の由来は、梅の花に関係していると考えられる。
一方で、塩梅(あんばい・しおうめ)や梅実(うめざね)という名字があるが、こちらは梅の実に由来すると思われる。

また、神奈川県平塚市には梅干野(ほやの)という難読な名字が存在している。
文字を見ると「梅を干す野原」という意味が推察できるが、「ほやの」とは読めない。
東京都西東京市には、「保谷(ほや)」という地名があり、八王子市に「保谷野(ほやの)」という名字が存在している。この名字の由来は「保谷」の地名と考えられる。
「梅干野」も元々は「保谷」に由来するのかも知れない。
保谷地域では、かつて梅の産地で「梅干し」が作られていたことが考えられ、「保谷」に「梅干」を当て「梅干野」という名字が生まれたのかも知れない。

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たかのぶ・ゆきお 名字研究家。1956年、茨城県大子町生まれ。 高校の時から名字研究を始め、全国を旅しながら名字の由来やエピソード等を取材している。主な著書に『難読希姓辞典』『名字歳時記』『珍名さん』など。日本家系図学会員、茨城民族学会員、日本作家クラブ会員。

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