趣味の王道でもある散歩の奥は深い…。実際に、持ち物やルート選びにこだわりがある人は少なくないだろう。今回は、寺社仏閣めぐりの達人であると同時に、独自の「ついで散歩」を楽しんでいるという田中ひろみさんに、その散歩法を教えてもらった。
関心の軸があると散歩中の発見は増える
イラストレーター・文筆家であり、寺社仏閣巡りの達人でもある田中ひろみさんは、特に仏像を目当てに各地へ出向くことが多いのだという。そして、目的を達成した後は、ついでにその足で付近を散歩してみる。すると…予定外のうれしいことがよく起こるそうだ。
「最近は愛知県のお寺で、秘仏のご開帳があるというので出かけました。ご開帳を拝んだ後、ついでに周辺をブラブラしているとタカアシガニが食べられるお店があったんですね。珍しいと思って入ってみたら、とにかくおいしくて…今までに食べたカニのなかでも一番でした!」
愛知県蒲郡はタカアシガニが揚がることで知られているそうだが、何の予備知識もなく、さらに「ついで散歩」で出会った美味しさであれば、その嬉しさは格別だろう。
「食べ物以外でも、ご当地のゆるキャラを見付けることもあっておもしろいですよ」とも語ってくれた田中さん。「ついで散歩」では発見が連続することも珍しくないようだ。
特に目的のない近場の散歩でも、仕事柄、やはり寺社仏閣に目がいくという。
「普段と違う道を歩いたり裏道に入ってみたりすると、意外な場所にお地蔵さんがいたとか、小さな発見をすることがあります。あるいは目立たないお寺なのに、立派な閻魔大王像があった、なんて発見もあるんです」
田中さんの「寺社仏閣」のように、何かひとつ関心の軸があると、ただ散歩するだけでも「発見」の機会は増えやすくなる。
田中ひろみさんの「散歩の相棒」は?
自宅近くで巨大観音像とご対面!
外出機会が制限された期間が長かった影響もあり、自宅近辺を散歩する人も多いはず。田中さんの場合はどうだろう?
「私は、埼玉県所沢に住んでいます。所沢は、狭山茶の名産地であちこちに茶畑があり、私の家の裏も茶畑なので、茶畑を通って散歩にでかけます。先日は、足を伸ばして所沢市のとなりの清瀬市・清瀬金山調整池近くのコスモス畑に行きました。県境の所です。すると、コスモスの向こうに白い観音像が見えたのです。近くまで行ってみると、東福寺というお寺のとても大きな観音像でした。『守護観音』というのが正式名で、平成14年に造られたそうです。散歩に出かけると、思いがけない発見があって楽しいです」
自宅近くでも、新しい道を試し歩いてみたり、少し遠くまで歩いてみることで、未知の発見があるかもしれません。さらに、それについて調べてみると、より散歩の楽しさが増しそうだ。