煩悩108個の根拠は?
大晦日の夜も更けて紅白歌合戦が終わると、そろそろ除夜の鐘が(おそらくテレビから)聞こえてくる。
「除夜」とは「旧年(去っていく年)を除く」という意味なので、除夜の鐘は「去りゆく年を送る鐘」ということになる。
ところで、除夜の鐘は何回撞(つ)かれるか、ご存知だろうか?
そう、108回。
では、なぜ108回なのかはどうだろう?
そう、煩悩(ぼんのう)の数です。
肉欲・食欲・性欲・嫉妬心・怒り・怨み・・・、そうした人間の欲望のことを、仏教では煩悩と呼び、これがさまざまな苦の原因になっていると説く。
だから、清々しく新年が迎えられるよう、旧年の煩悩を払い落とす意味で108回鐘が撞かれるのだ。
ところで、108個という煩悩の数に、どんな根拠があるのかご存知だろうか?
実はこれにはちゃんとした計算式がある。ただし、これがなかなか複雑なのだ。代表的な説を3つあげておこう。
●その1
仏教では人間の感覚器官には【眼・耳・鼻・舌・身・意】の6種があるとするが、それから受ける感覚には【好・悪・平(好でも悪でもないこと)】の3種あるので、6✕3で18。
この18個の感覚には【染(ぜん、汚れていること)と浄】があるので、18✕2で36。さらにそれぞれに【過去・現在・未来】があるので、36✕3で108。●その2
煩悩には精神的修行で断つべき【見惑(けんわく)】と,身体的な修行で断つべき【修惑】がある。見惑は88、修惑は10あるので、これに【纒(てん)】という派生的な煩悩10を加えて108。●その3
1年には12の【月】、24の【節気(1年を24等分して名づけた季節の指標-立春・夏至・大寒など)】、【七十二候(二十四節気のそれぞれを3つに分けたもの-立春初候・雨水次候・夏至末候など)】があるので、12+24+72で108。
いかがだろうか?
え? 煩雑でわかりにくい?
では、とっておきの説を…。
●その4
煩悩は苦しみの元である。苦しみには【四苦八苦】がある。
そこで、4✕9(四苦)と8✕9(八苦)で、36+72となり、合計108。
どうだろう?
これですっきり年が越せるものと思う。
みなさま、よいお年を。