金運・財運アップを助けてくれる3種の福神様
金運・財運というと、まず思い浮かぶのが「大黒天(大国主神)さま」に「弁才天(弁財天)さま」、そして「毘沙門天さま」だ。
※「恵比寿さま」は本連載の『ビジネス篇』で取り上げた。
最強の福の神=大黒天様
大黒天さまはインド発祥の軍神で、本来は三面六臂(さんめんろっぴ、顔が3つで腕が6本)という恐ろしい姿をしていた。
しかし、富貴の神としての性格もあり、この場合は人と同じ姿で袋を担ぐ姿で表されていた。この姿と「だいこく」という名が、因幡の白ウサギの神話で有名な大国主神(おおくにぬしのかみ)と似ていることから、同一視されるようになり、われわれが知る福神としての大黒天へと発展した。
ちなみに、大国主神さまは日本の国土を開拓し、人々の生活を豊かにしたという繁栄の神様。つまり、福神の大黒天は仏教と神道の財運の神が合体した最強の福の神といえる。
そのため、「比叡山延暦寺」の大黒堂や「神田神社」(神田明神/東京都千代田区)など、全国各地に大黒天を祀る寺社は多い。
学問・芸能の神にして財神「弁才(財)天」
弁才天さまはインドの水と豊穣の女神サラスヴァティーが仏教に取り入れられたもの。学問や芸能の守護神でもあるが、日本では財神としての信仰が広まり、弁財天とも書かれるようになった。また、神道の水(海)の女神とも結びつき、「嚴島神社」「都久夫須麻神社(竹生島)」「江島神社(江ノ島)」は日本三弁才天と呼ばれている。
このほかにも有名な寺社は多くあるが、ここでは東京上野の「不忍池辯天堂」をご紹介したい。不忍池は天海僧正が寛永寺を創建した際に琵琶湖を模して造ったもの。辯天堂が建つ中之島もも竹生島を写したもので、ご本尊の辯才天像は竹生島の宝厳寺より移したものと伝えられる。
不忍池辯天堂では9月に「巳成金(みなるかね、実の成る金の意)大祭」という、名前からしてリッチなお祭が行れる。財運アップのご利益はお祭の日以外でも得られるので、ぜひお参りしておこう。
強面の武神にして財宝の神「毘沙門天さま」
毘沙門天さまは仏教の守護神・四天王の1神で、多聞天ともいう。武神なので恐い顔をしているため七福神の中でも異質の存在であるが、インドでも財宝の神として信仰されていた。
大黒天さまや弁才天さまほど広く祀られてはいないが、「信貴山朝護孫子寺(しぎさんちょうごそんしじ)」(奈良県生駒郡)や鞍馬寺(京都市左京区)、神楽坂毘沙門天善國寺(東京都新宿区)などが有名だ。
朝護孫子寺の塔頭(たっちゅう、大寺院に所属する小寺院)の一つ千手院の境内には、毘沙門天のお使いの銭亀善神を祀る「日本唯一 金運招福 銭亀堂」があるので、信貴山を訪れた際には必ずお参りをしてご利益にあずかっておこう。千手院には貧乏よけ神社もあり、両方参ると効果倍増だそうだ。
金運パワー全開の寺社に詣る
金運・財運寺社の中には名前からして目出度いところもある。
たとえば、宮城県石巻市の「金華山黄金神社」、宮城県岩沼市の「金蛇水神社」、鳥取県日野町の「金持神社」、岐阜市の「金(こがね)神社」、香川県仲多度郡の「金刀比羅宮(ことひらぐう)」、大分県豊後高田市の「富貴寺(大分県豊後高田市)」などがそれだ。
「名は体を表す」という言葉もあるが、ありがたい名前の寺社はそれだけご利益も大きいように感じる。
なお、「金華山黄金神社」は東大寺の大仏に用いる金が東北で産出されたことを祝って創建された神社で、3年続けてお参りすれば生涯お金に不自由しないといわれる。
金毘羅(こんぴら)さんの名で親しまれてきた「金毘羅宮」は船乗りによって全国に信仰が広められた航海安全・商売繁盛の神社で、江戸時代には伊勢神宮に次いで参詣者を集めたともいう。丸に金の社紋も金運パワー全開といった感じだ。
なお、都内にも東京分社(文京区)や虎ノ門金刀比羅宮(港区)があるので、四国まで足を延ばさなくてもご利益がいただける。
宝くじ当選も叶えてくれる?
変わったところでは「皆中稲荷神社」(東京都新宿区)という神社がある。「皆中」とは「皆当たる」の意味。江戸時代、このあたりに駐屯していた鉄砲隊百人組の与力が稲荷神に祈願したところ百発百中の腕前になったという由緒をもつ霊社だ。鉄砲だけではなく、宝くじにも霊験を発揮するといわれるので、ためしてみてはいかがだろうか。
なお、江戸時代に富くじが行われ、境内に富塚がある「椙森神社(すぎのもりじんじゃ)」も宝くじ当選のご利益があるとされる。
変わった祈願法で金運・財運UP
最後にちょっと変わった祈願法がある金運・財運寺社をご紹介しよう。まずは冒頭でも触れた大阪の「大国主神社」(大阪市浪速区)から。
この神社は敷津松神社の摂社なのだが本社より有名になっており、敷津松神社も「木津の大国さん」と呼ばれている。
なお、敷津松神社は飛鳥時代以前の神功皇后の御代に創建されたとされる古社で、大国主神社は延享元年(1744)に出雲大社の神霊を迎えて建てられた。
この大国主神社で金運がぐっと上がると人気がある祈願法は種銭である。これを財布に入れておくと、種から作物が育って実が成るようにお金が増えるとされる。ただし、袋を開いて中を見てしまうとご利益がなくなるというので、ご注意を。
なお、大国主神社が鎮座している場所は、大阪の恵比寿信仰の中心といえる今宮戎神社のすぐ近く。まさに財運のパワースポットともいえる地域である。神社めぐりをするだけでも運気が上がりそうだ。
もう一つは兵庫県宝塚市の「清荒神(きよしこうじん)清澄寺」の「荒神影向(こうじんようごう)の榊」だ。
清澄寺は寛平8年(896)に創建された真言三宝宗の寺院だが、かまどの神様・荒神を祀ることで知られている。荒神影向の榊はその荒神さまが出現したとされる場所で、榊の周辺にはお賽銭がたくさん投げ入れられている。
このお賽銭をいただいて帰り、紙に包んで財布に入れておくとお金に困らないといわれる。ただし、次に参詣した時に倍にして返さなければいけない。
願いがかなった場合は本堂にもお礼参りを。これは他の寺社でも同じ。そうすれば、ご利益は2倍にも3倍にもなるはずだ。