いま、「ソロキャンプと言えば?」と聞かれたら、多くがその名前を挙げるであろう…ヒロシさんが新刊『ヒロシの日めくり 人生、ソロキャンプ』(学研プラス)を上梓した。
そして、ヒロシさんが主宰する『焚き火会』メンバーにして野外料理研究家のベアーズ島田キャンプさん(以下「B島田」と記載)も、昨年に続き、『ベアーズ島田キャンプのゼロからはじめる焚き火料理』(辰巳ムック)をリリース。
ふたりの新刊発売をきっかけに、ヒロシさんの地元・熊本県「メトロ書店熊本本店」が主催し、東京の学研本社から配信が行われた、柔らかくも芯のあるトークショーをレポートする。
キャンプも料理も…自由に楽しんだもん勝ち
B島田─「こないだのヒロシさんのYouTube観たら、一緒に行っているはずのぼくが全く映ってなかったんですけど…何でですか?」
ヒロシ─「ん~。何でだっけ? あ、なんか島田君がカッコ悪かったんだよね」
B島田─「ちょっと、なんですかそれ!」
オンライン形式で行われた本イベントは、お互いの新刊を置いたテーブルを挟み、プライベートでも仲の良い二人だからこその軽妙なやり取りでなごやかにはじまった。そしてさっそくトークテーマは『ヒロシの日めくり 人生、ソロキャンプ』の制作秘話へ移っていく。
ヒロシ─「日めくりって適当に写真を選んでパパっと何か書くだけだから、つくるのがラクなんだけど…今回のはけっこう大変だったのよ」
B島田─「コラ! 適当とかラクとか言わない(笑)」
本書は日めくり形式でキャンプにまつわるヒロシ流の名言(迷言?)が、写真に合わせて展開していく体裁。自身もアイデアを出し、地元・熊本でのロケもあり…と、かなり気合いの入った1冊のようだ。イベントではそんな力作となった本書の未公開メイキング動画も流され、それを観ながらヒロシさんが当時を振り返る。
ヒロシ─「そうそう! このタバコの写真もね、いろいろ考えたんだよ」
B島田─「いまは難しい時代ですからね」
ヒロシ─「なんか怒られるじゃん。でも、タバコとキャンプって、やっぱり相性いいんだよね」
B島田─「ちなみに、いちばん大変だったのはどのシーンなんですか?」
ヒロシ─「それ、せっかくだから視聴者クイズにしようか。正解者にはなんと! 島田君が最近買ったばかりのキャンピングカーをプレゼント!」
B島田─「…絶対ダメでしょ(笑)」
ヒロシ─「それでは、正解を…ドルルルルル(←適当なドラムロール)……」
そんなフリで発表された「ヒロシさんが最も苦労した」ことは、巻末にある「ヒロシの超手抜き飯」コーナーとのこと。いわく「キャンプ料理について、どこまで説明するべきかの判断が難しかった」のだとか。
ヒロシ─「島田君の本ってレシピ本でしょ。俺の手抜き飯ですら大変なんだから、そっちは本当に大変だろうなぁって思ったもん」
B島田─「分量とか時間とか…実際は火の強さとかも関係しますからね。でも、本を参考にして楽しんでもらえれば、きっちりじゃなくてもいいんですよ」
ヒロシ─「おお、むしゃんよか~!(※熊本弁で「カッコいい」的な意味)」
笑いに真理が混ざったヒロシ流「Q&Aコーナー」
そして、トークショーは視聴者からの質問コーナーへと進んでいく。島田さんが質問を読み上げ、ヒロシさんが回答する。
B島田─「最初の質問は…『京都在住です。ヒロシさんは京都でキャンプしたことはありますか?』です」
ヒロシ─「キャンプの経験はないけど、京都には従姉妹がいるよ。元ヤンキーだけど」
B島田─「そういう質問じゃないでしょ(笑)まぁいいや。次は『キャンプに家族が行ってくれないのですが、どうしたら良いでしょうか?』ってやつですが…」
ヒロシ─「無理して連れていってもロクなことにならないからねぇ。一緒に行かなくていいんじゃない? 一人でとか、気の合う仲間と行ったほうが絶対いいよ」
B島田─「行きたくない人と行ってもね~」
ヒロシ─「キャンプじゃないんだけど、昔の彼女に『どうしても行きたい』って言われてある場所へ行ったことがあるけど、結局大ゲンカしたもん(笑)」
B島田─「まぁそうなりますよね。はい、次は定番の『キャンプで困った経験はありますか?』です」
ヒロシ─「んー。困ることは基本ないかな。例えばテントを忘れたとかでも、それはそれで楽しむからね。雨が降ったりもそう。なんていうか、キャンプってわざわざ困りに行っているところがあるじゃん」
B島田─「そうそう」
ヒロシ─「それ自体を楽しんじゃってる感じだよね」
そんなこんなで笑いの中に真理が混ざった質問コーナーもあっという間に終了。昨年刊行されたベストセラー『ヒロシのソロキャンプ』と変わらぬ、まさにヒロシ流キャンプ観に溢れたコーナーだった。
自分らしくキャンプを楽しむ人が増えてくれれば…
本書に掲載された名言の一つに「俺は、キャンプの先生ではないからね」というメッセージがある。
社会生活では人が決めたルールや定義に従うべき場面は少なくない。だからこそ、キャンプや遊びくらいは自分で勝手に楽しめばいいということだろう。
そしてイベント終盤、ヒロシさんはこう語る。
ヒロシ─「今回のイベントを開いてくれた『メトロ書店熊本本店』さんで俺の本と…えっと、島田君の本も、買えるんだよね? うん。島田君の本は読むだけじゃなくて、投げたり踏んだりもできるので是非そちらもどうぞ」
B島田─「えー、視聴者のみなさん。『投げない、踏まない』でお願いします(笑)」
ヒロシ─「コロナが明けたら、書店でサイン会とかもやりたいよね」
地元の書店、そして島田さんの書籍もしっかりフォローし、トークショーは無事に終了。
あくまで自分らしく、そして自由にキャンプを楽しんでいる二人の新刊は、キャンプのバイブルではない。きっと、参考程度にして、読者がそれぞれに自分らしい時間を過ごすことをふたりも望んでいるはずだ。