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■戦国武将ゆかりの岐阜を歩く。

天下統一を目指す志を育(はぐく)む大地——岐阜県の史跡と文化を訪ねる。写真は岐阜城。

戦国武将と豊かな文化を
育む交通の要衝

 美濃国(岐阜)は古来から日本東西・南北を結ぶ中山道と北国(ほっこく)街道、伊勢街道が交差する交通の要衝であり、街道を人々が往来することで京都、大阪の文化と東国の文化が出逢う地となっていた。これが多くの戦国武将を輩出したことにも関係する。岐阜は、斎藤道三・明智光秀が誕生した地だ。また織田信長が稲葉山城(岐阜城)を拠点とした。「岐阜」という地名に改めたのも信長である。

 小和田哲男館長(前出)によると、岐阜の地政学的特徴が戦国武将を天下統一への後押しをしたともいう。一つは京都から少し離れている地であること。もう一つは美濃の濃の石高は50万石、駿河(静岡県)の15万石と比べ、「豊かな穀倉地帯」であり、木材の一大産地でもあったこと。交通の要衝がもたらした独自の文化と豊かな経済力によって優秀かつ力強い武将を育んだのである。

関ケ原の戦いでは美濃国の武将の命運も分けた。例えば、多くが西軍に加担するなか、秀吉により城主の座を奪われた遠藤慶隆(えんどう・よしたか)は機を見て東軍・徳川家康に帰順(きじゅん)。この慶隆の決断が、郡上八幡の城下町文化の礎にあることも興味深い。

 岐阜の豊かな自然と古い街並みを感じ、美濃和紙関の刀鍛冶などの伝統技術に触れてみることで戦国武将の生きた世界を体感できるだろう。

岐阜——戦国武将の生きた世界を体感する。

岐阜城

ぎふ長良川の鵜飼(うかい)

斎藤道三・織田信長の居城であった岐阜城
金華山山頂の天守から見た岐阜市内
幽玄な長良川の伝統漁法「鵜飼」の世界

 金華山山頂にそびえる岐阜市のシンボル岐阜城は、難攻不落の城として知られ、斎藤道三、織田信長の居城でもあった。関ケ原の戦いの前哨戦の際、信長の孫・秀信が西軍に味方したため、東軍に攻められ落城。岐阜城を背景に漆黒の闇の中、鵜匠と鵜が一体となって繰り広げる1300年の歴史を誇る伝統漁法「鵜飼」も必見。

【岐阜城】:岐阜県岐阜市金華山天守閣18
☎058-263-4853
営 9:30~17:30(10 月17日~3月15日までは16:30までの営業)元旦のみ6:30~16:30※期間限定で夜間営業有 http://www.gifucvb.or.jp/sightseeing/detail_kankou.php
【ぎふ長良川の鵜飼】
https://www.ukai-gifucity.jp/ukai/

郡上八幡城

 城下町
 郡上おどり

日本最古の木造再建城、水とおどりの城下町
郡上八幡の古い町並み
ユネスコ無形文化遺産にもなった「郡上おどり」

 

 戦国時代末期 1559年、遠藤盛数によって築かれたのが郡上八幡城。 二代目城主・遠藤慶隆は、秀吉によって改易。城主の座を一度追われたが、家康の東軍に味方して戦後、城を奪還。郡上藩の初代藩主となる。城下町で毎年夏に開催される「郡上おどり」には30万人もの踊り客が訪れ、お囃子と下駄の音で賑わう。ユネスコ無形文化遺産にもなっている。

【郡上八幡城】:岐阜県郡上市八幡町柳町一の平659
☎0575-67-1819
営 3~5月、9~10月9:00~17:00/6~8月8:00~18:00/11~2月9:00~16:30 /休業日12月20日~1月10日 https://hachiman-castle.com/#contents
令和5年3月下旬(進捗により変更あり)まで耐震補強工事のため休城。

大垣城

全国でも珍しい4層の天守、
市街地にあり散策にも最適

 

 全国的にも珍しい4層の天守を持ち、「城下町・大垣」のシンボルとして市民に親しまれている大垣城。関ケ原の戦いでは、西軍・石田三成の本拠地にもなり、本戦部隊が関ケ原に移動した 後も壮絶な攻防戦が繰り広げられた。戦火で焼失したものの、 1959年に再建。

【大垣城】:岐阜県大垣市郭町2-52
☎0584-74-7875

営 9:00~17:00(入館は16:30まで)/休業:火曜(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日、年末年始https://www.city.ogaki.lg.jp/0000000577.html

苗木城跡

巨岩を抱え込んだ石垣と
天守展望台からの大パノラマ

 全国でも珍しいと言われる苗木城跡の石垣には、自然の巨岩がそのまま活用されている。年代によって積み方の異なる石垣も 見どころのひとつ。また、なんといっても天守跡に設けられた 展望台からの景色が抜群。日本百名山の恵那山、木曽川、市街地を360度見渡すことができる絶景が広がっている。

【苗木城跡】:岐阜県中津川市苗木
☎0573-66-8181(苗木遠山史料館)
https://www.city.nakatsugawa.lg.jp/kanko/index.html

美濃和紙の里会館 

 うだつのあがる町並み

ユネスコ無形文化遺産「美濃和紙」にふれる
家康が使用したと言われる美濃和紙で作られた
「采配(さいはい)」(レプリカ)
うだつの上がる町並み

 

 美濃の里山で1300年の伝統をもつ美濃和紙の素晴らしさを様々な視点から紹介。紙すきの実演見学や体験で職人技に触れることもできる。関ケ原の戦いの際、 家康が軍勢を指揮する時に使用したと言われる美濃和紙で作られた「采配」(レプリカ)も展示されている。その他、国の伝統的建造物群保存地区に選定されたうだつの上がる町並みも必見。

【美濃和紙の里会館】:岐阜県美濃市蕨生1851-3
☎0575-34-8111
営 9:00~17:00 /休業日:火曜日(祝日の場 合は翌日)、祝日の翌日、年末年始
http://www.city.mino.gifu.jp/minogami/

関鍛冶伝承館

700年に及ぶ刀鍛冶の伝統の技にふれる
刀剣展示室には、古来より関に伝わる
貴重な歴史的資料を公開

 

 700年に及ぶ関鍛冶の技を今に伝える施設で、歴史や製造工程を映像・資料・展示により紹介。古式日本刀鍛錬場や技能 公開場も併設。刃物まつりのほか、月に一度一般公開される。「折れず、曲がらず、よく切れる」と評判の関鍛冶の刀は信長や家康など多くの武将たちに認められていた。

【関鍛冶伝承館】:岐阜県関市南春日町9-1
☎0575-23-3825

営 9:00~ 16:30/休業日:火曜日(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日、年末年始
https://www.city.seki.lg.jp/kanko/0000001558.html

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