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普通列車に負ける特急……大好評!残念時刻表を読み解く超ニッチ企画!~「渡辺雅史の残念な鉄道時刻表」第4回

なぜこんな時刻表(ダイヤ)になったのか? 残念時刻表を読み解く超ニッチ企画第4弾!
 ※時刻表は記事最後に掲載


 特急は普通より速い。
 そんな常識を覆す列車が石川県に走っている。今回紹介する七尾発金沢行の普通列車と、和倉温泉発大阪行の特急サンダーバード20号だ。
 能登半島の中央部にある石川県七尾市。この市の中心部にある駅、七尾を9時49分に出発する金沢行の普通列車は能登半島を南下、石川県の県庁所在地のある金沢へと向かう。
 そして、特急サンダーバード20号は、七尾より1駅北側にある和倉温泉を10時14分に出発。途中七尾を通り(10時20分発)、金沢、さらに大阪へと向かう。
 普通列車は七尾〜金沢の間にある全20駅に停車。特急サンダーバード20号の七尾〜金沢の間の停車駅は羽咋(はくい)と津幡(つばた)だけで、他の18駅は通過する。そのため、普通列車は特急に追い抜かれるダイヤになっており、時刻表を見ると金沢の3駅手前、津幡で9分間停車する間に特急サンダーバード20号に追い越される。
 金沢到着は、普通列車が11時22分で特急列車が11時18分。2つの列車の金沢到着時刻だけを見ただけでは「普通列車が特急に追い越されました」という、ごくありふれたダイヤにしか見えない。
 しかし、特急が金沢を出発する時刻は「11時24分」。つまり、津幡を後から出発する普通列車に乗っても、金沢で特急に追いつき、乗り換えることが出来るのだ。
 なぜ、この特急は金沢で6分も停車して普通列車に追いつかれてしまうのか。それは車両の増結を行うからだ。北陸と関西を結ぶ特急サンダーバードは北陸本線、湖西線、東海道本線とJRの大幹線(全区間複線)で1日20往復以上運行される列車。利用者の多い金沢〜大阪間はすべての列車が9両編成となっている。一方、金沢より北の区間はIRいしかわ鉄道とJR七尾線という路線で、特に七尾線は全区間単線のローカル線だ。
 沿線には和倉温泉などの観光地や、七尾市、羽咋市などの街があるが、金沢市と比べると規模が小さいこと、そして七尾線が長い編成の電車を走らせづらいローカル線という事情もあるのだろう。和倉温泉〜金沢間の特急サンダーバード20号は6両編成で運転されている。
 6両のまま大阪まで走らせると車内が混雑する、和倉温泉→大阪を結ぶ特急サンダーバード20号は途中の金沢で車両を3両増結、大阪→和倉温泉の特急サンダーバード17号は金沢で車両を3両切り離す。
 この作業のために金沢で6分停車するのだ(ちなみに、大阪→和倉温泉の列車は7分停車)。そんな普通列車に追いつかれてしまうという残念なダイヤの特急サンダーバード20号が運行されるのは2024年3月15日まで。北陸新幹線の金沢〜敦賀間が3月16日に延伸開業に合わせて特急サンダーバードの運行区間が短縮されてしまうからだ。
 昭和の時代は臨時列車の急行が、毎日運転される定期列車の普通に追い越されるなんてことがたまにあったが、JRになってからはほぼ見られなくなった。別料金のかかる列車が普通列車に追いつかれる残念なダイヤ。なくなってしまう前に一度は乗ってみたい列車だ。

JR西日本 特急サンダーバード20号
和倉温泉駅10時14分発 大阪行

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渡辺雅史

時刻表好きが嵩じ「時刻表探検家」を名乗るフリーライター。自宅に所蔵する時刻表は国内、海外のものを合わせて500冊以上。雑誌や書籍への執筆のほか、ラジオ番組の構成作家なども行う。著書に「銀座線の90年(河出書房新社)」「東京駅コンシェルジュの365日 業務日誌に見る乗客模様(交通新聞社新書)」など。

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