そのサービスは本当に顧客のために貢献できているのだろうか。もし、顧客が満足するのならば、
幸せで満面の笑顔に満たされるのではないだろうか。すべては、「笑顔のために」。
1968年の創業以来、55年の長きにわたり健康・社会・地球・未来の笑顔を実現すべくグローバルに
活躍している企業が参加した「ヘアロス啓発」イベントをレポートする。
◉写真:原 哲也
渋谷駅周辺800人パレード
毛髪・美容・健康のウェルネス事業をグローバル展開する株式会社アデランス(本社:東京都品川区、代表取締役社長 津村 佳宏)は、去る9月23日(土・祝)に渋谷で開催された特定非営利活動法人Alopecia Style Project Japan(アロペシア スタイル プロジェクト ジャパン:「エーエスピージェイ」以下、「ASPJ」と表記)が主催するヘアロス啓発イベント2023「Alopecia STAND UP!」【注】において、イベントでは約800名の参加者が渋谷駅周辺をパレードした後、渋谷ストリーム稲荷橋広場でトークショーやファッションショー、ワークショップなどが開催された。
主催団体であるASPJは、脱⽑症、抜⽑症、乏⽑症、無⽑症、治療による副作⽤など、様々な理由より髪に症状を持つ⼥性と⼦どもたちのコミュニティ(NPO)である。髪を失ったときの戸惑いや不安を感じてしまうときに、同じ症状の人に会って安⼼したり、気兼ねなくオシャレを楽しむなど、「一人で抱えなくていい」と感じてもらえるような機会を提供していくと共に、社会の見方への変革を提示し「髪に症状があることをハンデにしない社会」を目指している。
【注】ヘアロス啓発イベント2023「Alopecia STAND UP!」とは・・・
様々な理由によって髪に起こる脱毛症や抜毛症などの症状やその状態であるヘアロスに関して、より多くの人に楽しみながら知ってもらうことを目的としてASPJが実施しているイベントである。
当日は、アデランス社の社員もパレードに参加したほか、同社のウィッグを着用したファッションショー、ウィッグの試着体験などを実施しました。ファッションショーでは、高校生モデルのmomokaさんらが「フォンテーヌ」ブランドのウィッグを着用し、ランウェイを歩きました。
<momokaさんからのコメント>
今回のイベントに参加できてめっちゃくちゃ楽しかったです!
私自身は3歳くらいの頃に脱毛症になりました。でも、その頃の記憶がほとんどありません。今は本当の自分は髪の毛があった時ではなく、今の髪の毛のない自分が本当の自分だと思っています。普段は髪色のバリエーションがないウィッグをつけているのですが、今日はアデランスさんから大好きなマリリン・モンローのような金髪のウィッグを初めてつけさせていただき、めちゃくちゃ嬉しかったです。
過去には脱毛症であることで、いろんな人に悪口を言われたり、落ちこんだりすることや辛かったこともあったのですが、そうした悲しい気持ちを同じ立場の子たちに思って欲しくないので、「私自身が変わり、変えていこう」と思い、今回のプログラムに参加しました。
自分自身「ありのままの姿」で社会へ関わっていくと、色んな方々の理解を受けて、とても世界が広がっていくように感じました。
また、自分からインスタで発信し、時にはありのままの姿をみていただき、脱毛症についての理解の輪を広げていきたいと考えております。
アデランスは「笑顔のために」何を考え、行ってきたのか
今回のイベントを通じて私たちは何を知っておくべきだろうか。まず、ヘアロスについての事実を伝えてみよう。
まず、「アロペシア(Alopecia)」という言葉について。アロペシアとは、「脱毛症」を意味し、脱毛症の以下の類型に分類できる【図表1参照】。
【図表1】
1.脱毛症・・・自己免疫疾患などにより頭髪や眉毛まつげなど体毛がなくなる症状
2.抜毛症・・・自分の体毛を自分で抜いてしまい習慣化してしまう症状
3.乏毛症・・・生まれつき髪の毛が少ない、もしくは縮毛を伴う症状
4.無毛症・・・生まれつき全身の毛がない症状
5.治療による副作用・・・治療の副作用などで髪の毛が抜ける
私たちは、自己免疫疾患などにより頭髪をはじめ体毛がなくなる症状をはじめ、治療の副作用などで抜毛する脱毛症になる場合がある。髪を失ったときに当事者が深く内向し、心に重荷を背負うのは、やはりヘアロスでの周囲の関係性、広い意味で社会の理解のなさに起因する。【図表2下記参照】。じつに当事者の約50%弱の方々がヘアロスへの理解のなさ、また偏見を感じているのが実情である。
すなわち、脱毛症に悩む方々は、笑顔になるには「事実上」ハードルが高い社会なのだといえよう。また、40%以上の方々が10年以上のウィッグの使用歴があるのも事実である。
[調査方法]インターネットによるWEBアンケート[回答者数]円形脱毛症当事者213名
アデランス社は、1978年より40年以上もの間、病気や傷、火傷などで毛髪の悩みを抱えておられるお子さんへの「愛のチャリティ」の取り組みを続けている。その志は1968年の創業以来受け継がれている「笑顔のために」という精神だ。また津村佳宏代表が率先し、患者様の会に何度も伺う中で「髪の悩み」に対する要望、特に近年増加しているがん患者様たちから抗がん剤による脱毛を気にされ、辛く感じるとの声が多く寄せられている。それに最高の技術と知識を通じて髪の悩みに向き合うことは顧客のQOL向上にもつながり、引いては「笑顔にする」こともできるのだ、と受け止め、ウィッグ会社としては唯一独自の人工毛の製造・研究開発まで行う最新の技術まで高めている。
「病気のせいで自分らしくいることをあきらめてほしくない」というアデランス社の思い。笑顔あふれる心豊かな社会への実現を目指すという意味でも、今回のイベントは同社にとっても今後、100年に向け、確かな「笑顔のために」歩み、邁進続けるパレードであるのかもしれない。