「京都三大美人祈願所」へ詣る
さすが、というべきか、美人祈願をかなえてくれる寺社は京都に断然多い。その中でもとくに人気がある3カ所を、筆者は「京都三大美人祈願所」と呼んでいる。まず、この3社から寺社めぐりを始めることとしよう。
神水・美容水をお肌につける
まず、最初は京美人の集中地帯というべき祇園に鎮座する「八坂神社」(京都市東山区)の末社で、その名も「美御前社(うつくしごぜんしゃ)」を紹介しよう。
本殿の東側にあるこの社にお祀りされているのは「美人の誉れ高き宗像三女神」(八坂神社公式サイトより)である。宗像三女神とは福岡県宗像市に鎮座する「宗像大社(むなかたたいしゃ)」のご祭神で、航海の安全を守る海の女神だ。美人の代名詞ともされる弁才天と同一視されることもある、代表的な美神。
それゆえ、お参りするだけでも美人になるご利益があるとされるが、社殿前に湧く神水、美容水を肌に2、3滴つけると、さらに効果絶大という。
お守りや絵馬もあるので、万全を期したい方は、どのように美しくなりたいか絵馬に書き込んで奉納し、お守りを身につけるとよいだろう。
希望の美人イメージを伝える
続いては、「上賀茂神社」とともに平安遷都以前から京都を守ってきた古社、「下鴨神社」(賀茂御祖神社)の摂社、「河合神社」である。
「河合神社」のご祭神は神武天皇のお母さんの玉依姫命(たまよりひめのみこと)。玉のように美麗な女神さまといわれている。そこから「河合神社」のことも「日本第一美麗神」と呼ばれている。
ユニークなのはその祈願法。手鏡形の絵馬に描かれた顔を、自分のメイク用品で化粧して奉納するというもの。それぞれ求める美の姿は異なるので、奉納された絵馬も個性豊かだ。
あなたはどんな美人を目指すのか、新春を機に鏡絵馬を手にして考えてみるのもいいかもしれない。
芸能界を目指すなら…?
3つ目は「車折神社(くるまざきじんじゃ)」境内の「清少納言社」。
その名からもわかるように、平安時代の才媛・清少納言をお祀りしており、そのご神徳はずばり才色兼備。ただ美しいだけではなく、才能も兼ね備えた美人になれるという、ありがたい神社なのだ。美と聡明さでキャリアアップを考えている方にぴったりではないだろうか。
なお、「車折神社」には多くの芸能人から篤い信仰を受けている芸能神社もあるので、美と才を得たのちに芸能界デビューも考えておられる方は、こちらもお参りしておくとよいだろう。
美神様のご利益で美しくなる
世界的美人ゆかりのお寺へ詣る
京都には世界三大美女のうち二人にゆかりのお寺がある。一人は日本を代表する美女、小野小町。ゆかりのお寺は「随心院」(京都市山科区)という。
随心院は正暦2年(991)に創建された真言宗善通寺派の大本山で、かつて小野小町はこの境内に屋敷を構えていたという。今も境内の一角には「小町化粧の井戸」が残されている。美人ならぬ美心守が人気で、雑誌などにも取り上げられている。
もう一人の絶世の美女は中国の楊貴妃(ようきひ/719~756)で、東山区の泉涌寺がゆかりのお寺。楊貴妃は唐の第9代皇帝・玄宗が寵愛した妃で、彼女を愛するあまり政治をおろそかにして内乱を招いたといわれる。まさに傾国の美女である。
「泉涌寺」の境内には「楊貴妃観音堂」というお堂があり、寛喜2年(1230)に南宋からもたらされた美しい観音像が安置されている。これが世に言う楊貴妃観音である。
「泉涌寺」では美人祈願の小札守も授与しているが、願いがかなって絶世の美女となっても、国を傾けることだけは自重していただきたい。
綺麗になりたいのは肌? 髪?
神奈川県藤沢市の江ノ島に鎮座する「江島神社」は辺津宮・中津宮・沖津宮の3宮に宗像三女神をお祀りしているが、市寸島比売命を祀る中津宮が美人祈願の聖地となっている。
ここでいただいておきたいのが、「よくばり美人守」。
ストラップに気になっている美人ポイント(美肌・美髪・微笑・美形・美白)のお守りを組み合わせるというもの。全部盛りももちろんOKだ。
綺麗になって病気も予防
「多度大社」・「美御前社」に奉納されている穴のあいた石
先に宗像三女神が代表的な美神であることを述べた。その三女神(三姉妹)の中でも市杵島姫命(いちきしまひめのみこと、市寸島比売命とも書く)は美神としての名が高く、単独でお祀りされることも多い。
たとえば、三重県桑名市の「多度大社」の美御前社。美人になる願いに加えて、女性特有の病気にも霊験があるとされる。なお、祈願に際しては穴のあいた石を供えるとよいとされる。
お地蔵様をお化粧して美人に
ちょっと意外に思われるかもしれないが「お化粧地蔵」と呼ばれる地蔵像が各地で祀られている。地蔵盆などのお祭に際して像に色が塗られるものが多いが、中には本当に「お化粧」をして、美人祈願のご利益があるとされるものがある。
たとえば、東京都港区の「玉鳳寺」のお化粧地蔵さま。
この地蔵像は八丁堀付近に放置されていたのを、かつての「玉鳳寺」住職が寺に運んで境内に安置したものという。像が汚れていたのでおしろいを塗って化粧したところ、住職の顔にあったアザが消えたと伝えられ、それ以来美容に悩む人の参詣が絶えないという。
心を常に美しく保つ人が美人
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