【古代旅の先達からのメッセージ】
今回の旅のナビゲーター:滋賀大学名誉教授 小笠原好彦先生
安芸の国は、瀬戸内に面した地域です。しかし、その北端部の三次盆地で弥生時代の末に四隅突出型墳丘墓が出現しました。この特異な墳丘墓は、江の川を下り、出雲地域に受け入れられ、その主体になりました。一方、その四隅突出型墳丘墓に配置された円筒型の特殊器台と特殊壺は、吉備の地域の墳丘墓に立て並べられ、さらに円筒埴輪に発展し、全国の古墳に並べられたのです。
さらに、この安芸の三次盆地に古墳時代の前期に前方後円墳の甲立古墳が築造されています。発掘された成果からみますと、この地域の有力首長がじつに重要な役割をはたしていたことを考えさせます。また、東広島市の三ツ城古墳は、5世紀前半に造られた、まさに安芸の王ともいうべき有力首長の存在を示しています。しかし、6世紀末から7世紀には、飛鳥の朝廷と深いつながりをもったのは、沼田川流域の有力首長だったことが、終末期の横穴式石室の古墳や横見廃寺からわかります。
このように、安芸に残る墳丘墓と古墳は、歴史書には書かれていない歴史を私たちに伝えています。じつに古墳を自分の眼でみることの重要性を教えています。
小笠原好彦(おがさわら よしひこ)
1941年 青森市生まれ。1966年 東北大学大学院文学研究科修士課程修了。奈良国立文化財研究所主任研究官、滋賀大学教授、明治大学大学院特任教授を経て、現在 滋賀大学名誉教授、博士(文学)。
主要著書:『近江の考古学』(サンライズ出版 2000年)、『日本古代寺院造営氏族の研究』(東京堂出版 2005年)、『聖武天皇が造った都』(吉川弘文館 2012年)、『日本の古代宮都と文物』(吉川弘文館 2015年)、『古代豪族葛城氏と大古墳』(吉川弘文館 2017年)、『検証 奈良の古代遺跡』(吉川弘文館 2019年)、『検証 奈良の古代仏教遺跡』(吉川弘文館 2020年)
古代に触れる〜ちょっと立ち寄りどころ
みよし風土記の丘ミュージアム(広島県立歴史民俗資料館)
◆住所 広島県三次市小田幸町122
◆電話番号 0824-66-2881(代表)
◆開館時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
◆休館日 月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌日以降の最初の平日が休館日),年末年始(12月28日~1月4日)
◆観覧料 一般 200円(160円)、大学生 150円(120円)、高校生以下・65歳以上 無料 特別企画展は別料金
東広島市出土文化財管理センター
◆住所 広島県東広島市河内町中河内651番地7
◆電話番号 082-420-7890
◆開館時間 午前9時から午後4時30分まで(入館は午後4時まで)
◆休館日 毎週土曜日・日曜日・祝日、年末年始(12月28日から1月4日まで)、その他、市教育委員会が必要と認めるとき
◆観覧料 無料
安芸高田市歴史民俗博物館
◆住所 広島県安芸高田市吉田町吉田278-1
◆電話番号 0826-42-0070
◆開館時間 9:00~17:00
◆休館日 月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)・祝休日の翌日
※土日は開館、12/29~1/3
◆観覧料 大人300円(200)・小人200円(150)
※()は団体20名以上、特別展開催時は料金の変更あり
◆取材協力:株式会社国際交流サービス
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