【南海加太線】川を渡り海を眺め、歴史ある港町へ
「おめでたい」と「愛でたい」を掛けて名付けた観光列車
瀬戸内海に面し、大阪との府県境にある加太。1912(明治45)年、加太の港と和歌山市間の輸送を目的に線路が敷かれ加太駅が開業。現在は「加太さかな線」の愛称を持つ南海加太線が紀ノ川〜加太駅間を結んでいる。和歌山市駅を出発し、約25分で加太へ到着。歴史ある漁師町・加太は和歌山県最西端の駅であり、グルメ、温泉、散策など旅の楽しみが詰まったエリアだ。
同路線を走るのは2016年デビューの「めでたいでんしゃ」。レールの上を走る魚をイメージした観光列車で、現在は4編成で運行している。外観、内装ともにどれもコンセプトが違い、写真に残したくなる遊び心あるデザインが施されている。第一号の「さち」は優しさや温かみ、続く「かい」は雄大な海の中を感じさせる。その他、「さち」と「かい」が結婚して生まれたとされる「なな」と、冒険船がモチーフの「かしら」には、和歌山市出身のHYDEのシルエットやロゴマークが隠れている。運行ダイヤは公開され、お目当ての電車に乗りやすい。
歴史と自然が融合した魅力 ハイキングに最適な加太
沿線は立ち寄りスポットの宝庫だ。関西屈指のサーフスポット「磯ノ浦海水浴場」や、釣り客が集まる漁場も多いほか、史跡や色濃く残る漁師町文化を感じられる場所も。中でも人気が上昇しているのは加太沖の友ヶ島。近年アニメの世界観に似ていると注目される島だが、かつてはこの一帯が大阪を守る要衝であったため軍用地になった時期もある。今も砲台跡や弾薬庫などが島内のほか対岸にも残され、その姿を間近で見られる。
加太漁港すぐそばの淡嶋神社は約1700年の歴史を持ち、婦人病など女性の病気回復や安産など女性を守る神であるとして信仰を集める。また、日本独特の宗教「修験道」の開祖とされる役行者にゆかりある場所も加太近辺に多く残る。
加太淡嶋温泉もあり、宿泊施設も多数。港町の潮風を感じながら路地を歩き、森の中を進み、地元グルメを満喫する。時間を忘れゆったりと過ごしたい街だ。