十二支に動物を当てはめた
「寅」年は、「演(えん)」が元と言われ、「演ずる」という言葉があるように「人の前に立つ」ことや、「延(えん)」に転じて「延ばす」という意味が込められている。「寅」年は「新しく立ち上がる」「生まれたものが成長する」とのことで縁起の良い年とされている。
「寅」年を「虎」年と書くのは、覚えやすくするために読みに合わせた動物が当てられたからと言われている。子(ね)に鼠、丑(うし)に牛など他の干支も同様である。
干支の寅(虎)に関係する名字は多く、寅口(とらぐち)・寅市(とらいち)・寅貝(とらがい)・寅松(とらまつ)・寅若(とらわか)・寅屋(とらや)・寅垣内(とらがいと)・虎(とら)・虎頭(とらがしら)・虎岩(とらいわ)・虎熊(とらくま)・虎走(とらばしり)・虎渓(とらたに)・虎若(とらわか)・虎渡(とらわたり)・虎杖(いたどり)・虎見根(こみね)などがある。
日本には元々虎はいなかったことから、これらの名字は干支の「寅」にちなんで付けられた名字と思われる。「寅市」は、寅年に開かれた「市(いち)」に関係して生まれた名字かも知れない。一方で、干支は古くは方角を表していたことから、寅の方向(東北東)の位置で「市」が開かれたことから生まれた名字とも考えられる。
寅(虎)にちなんだ名字で寅年生まれの人達は、今年は、どのような思いで新年を迎えたのか聞いてみたいものである。
WRITTEN BY
高信 幸男
たかのぶ・ゆきお
名字研究家。1956年、茨城県大子町生まれ。
高校の時から名字研究を始め、全国を旅しながら名字の由来やエピソード等を取材している。主な著書に『難読希姓辞典』『名字歳時記』『珍名さん』など。日本家系図学会員、茨城民族学会員、日本作家クラブ会員。
たかのぶ・ゆきお
名字研究家。1956年、茨城県大子町生まれ。
高校の時から名字研究を始め、全国を旅しながら名字の由来やエピソード等を取材している。主な著書に『難読希姓辞典』『名字歳時記』『珍名さん』など。日本家系図学会員、茨城民族学会員、日本作家クラブ会員。
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